2021 Fiscal Year Research-status Report
若年層を対象としたゲノム編集技術の食品応用に関する科学リテラシーと対話の研究
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21K18492
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中西 もも 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (40869450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深尾 友美 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (20470172)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / 食品 / 科学リテラシー / 対話 / 科学教育 / STS |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)ゲノム編集技術と食品応用に関する教材の作成、(2)アクティブラーニングを含む講義の実施、(3)webアンケート調査 のそれぞれについて準備を進行した。 (1)について、全体の構成およびコンテンツを検討した。構成としては、ゲノム編集技術の内容/農畜産物における育種とゲノム編集技術の応用/食と農業がかかえる社会・環境課題 の3部に分け、文系理系を問わず高校生が興味を持ちやすく理解しやすい内容を目指して内容を検討した。2022年度は、これをもとにプロのイラストレーターにイラスト制作を依頼し、用途や対象に応じて説明の文章を加えるなどして使用できる教材として完成させる。 (2)については、(1)の教材を用いて行うゲノム編集技術およびその農作物・食品への応用について知識を伝える講義とともに実施する、対話型ワークショップの実施方法について検討を行った。パイロット的な試行として、大学3年生数名の参加するロールプレイ・ディスカッションを実施し、ゲノム編集食品を食卓にあげるかについて対話してもらう実験を行い、一定の仮想設定のもとでの発言のしやすさや、ディスカッションを通して参加者の意見に変化がもたらされるかについてのフィードバックを得た。さらに、研究協力者らの過去の実施経験などの知見に基づき、高校生たち若年層が発言しやすいよう配慮した実施スタイルを念頭に、実施に協力いただける可能性のある高校などと調整を開始した。COVID-19の影響もあり2021年度中は実施実現に至らなかったが、2022年度には対面での実施を行う予定である。 (3)webアンケートについては、(1)の教材(の一部)を見せる前後で同じ質問に対しての意見がどう変化するかを検証する形で、アンケート内容の準備を進めた。対象を高校生・大学生として、2022年度中に調査実施と結果の解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の影響で、特に出前講義やアクティブラーニングの実施については慎重に進めざるを得なかったが、影響を受けにくいwebアンケートと組み合わせた検証を行う計画として、それぞれの実施準備が進行しおおむね順調といえる。 高校等でのワークショップ実施にあたっては感染防止などに配慮すれば対面での実施も可能な状況になってきているため、実施協力機関とよく調整を重ねて2022年度中に複数回の実施を目指している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度早々には教材に用いるイラストレーションが完成する予定のため、それを待ってwebアンケート調査を実施し、教材を見たことによる回答結果の変化について解析を行い、どのような情報がゲノム編集食品に対する理解や意見に変化をもたらすかを検証する。 また、COVID-19の感染状況なども注視しながらとなるが、高校生や大学1,2年生を対象に対面型のアクティブラーニング講義を実施する。制作した教材を用いつつゲノム編集および食や農業における応用に関する講義を行った上で、ゲノム編集技術の食品応用について意見を交わすアクティブラーニング型ワークショップを開催し、発言内容や実施後アンケートなどに基づく結果解析を 行う。結果と内容については、協力いただく高校の教諭等にもフィードバックをいただき、今後の教材化に向けた示唆を得る。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響で高校等での対面での講義やワークショップの実施については具体的に計画を進めることが困難であったため、当該年度中は実施にかかる費用が発生しなかったが、2022年度に実施計画があるため使用する。また、教材作成についても、当該年度中は内容を検討する準備期間であったためさほど費用を必要としなかったが、2022年度はこれをもとにプロのイラストレーターなどに制作を発注するため費用を必要とする。また、webアンケートの実施にあたっては調査会社に依頼するためその費用が必要となる。
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