2022 Fiscal Year Research-status Report
効果的な避難誘導情報のための批判的思考態度の推定手法開発と指導育成に関する研究
Project/Area Number |
21K18494
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中山 実 東京工業大学, 工学院, 教授 (40221460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 聡 信州大学, 学術研究院人文科学系, 教授 (30262679)
宇都 雅輝 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (10732571)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 批判的思考態度 / リテラシー教育 / テキスト分析 / 学習者特性 / ナッジ |
Outline of Annual Research Achievements |
避難行動を促す情報提示内容をそれぞれの批判的思考態度に応じて生成し、効果的な災害情報の提供システムを構築するために、個人の作成文書特徴から批判的思考態度などの個人属性の推定について検討した。このために、学習者が作成したレポートやコメントなどの小論文を分析し、その特徴を抽出し、批判的思考や個人属性への寄与を検討した。 (1)批判的思考態度と学習者特性との関連:批判的思考態度の学習による変容を検討するために,性格や科学技術リテラシの因子得点が批判的思考態度尺度得点の学習による変化と関係を調べた。個別の検討だけに限らず、学習による変容を因果関係として分析評価した。さらに、批判的思考態度育成に求められる討論を、オンライン掲示板で実施し、討論への参加が及ぼす効果を検討した。 (2)レポートやコメントでの小論文の表現と能力評価の検討:批判的思考態度やその能力が小論文の表現から評価できるかを自然言語処理の観点で検討した。小論文として、複数種類の教員の評定付きレポートとコメントを基に分析した。日本語コーパスを基にした機械学習システムを用いて、小論文テキストから評価点推定を行ったところ、いずれの小論文も教員による評価点は推定できたが、批判的思考態度の因子得点などの潜在的変数の得点推定は、実点数との相関係数が低く、十分な推定はできなかった。 (3)授業形態の影響検討:批判的思考態度育成のための学習には対面による討論が求められるとされるが、大規模での討論参加を行うためにオンライン討論の手法を検討している。コロナ下での対面による授業が困難であったことから、フルオンライン環境での指導とその影響を従来までに実施してきた対面型との比較を行った。特に、オンライン討論への参加者の誘導が難しいことから、効果的な「ナッジ」となりうる情報提示を検討した。参加報酬型の情報が誘因になり得たがその効用について検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ感染症の影響により、調査に制約がある。また、批判的思考態度の評価法について、複数の指標を導入して評価の多様化を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
批判的思考態度の評価や、誘導のための情報となりうる「ナッジ」の定義と効用評価が求められる。
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Causes of Carryover |
コロナ下のため、年度前半での研究打ち合わせ、研究調査などが実施できなかったため、計上した予算の執行が滞った. 次年度は最終年度であることから,研究打ち合わせやこれまでの研究成果発表を国内外で行うとともに,関連研究の成果について研究調査を行い,当初計画の達成を目指す.経費として旅費や成果発表の参加登録費が必要である.特に,小論文やオンランチャットなど、個人ごとのテキストを基に特性や能力の推定と行動誘導に関する分野で検討を行う予定である.これまでのオンラインでの調査に加えて,研究集会への参加のための諸経費も必要になる.
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