2021 Fiscal Year Research-status Report
「主体的に学習に取り組む態度」の育成と評価のための教育用ダッシュボードの開発
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21K18498
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
河野 麻沙美 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (00539520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀田 龍也 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (50247508)
北澤 武 東京学芸大学, 教育学研究科, 准教授 (80453033)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 教育用ダッシュボード / 自己調整学習 / 主体的に学習に取り組む態度 / ふりかえり / 主体性評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,「主体的に学習に取り組む態度」の育成と評価を支援するための教授・学習支援システムを開発することである.授業終末に行われる「ふりかえり」の実践を活動のふりかえりに終始させず、自らの理解状況や思考過程へのメタ認知を促すことで、自らの学習を調整し,粘り強く学習に取り組む態度の育成へとつなげるダッシュボード開発を行うものである。 本年度は、教師用・生徒用に記述内容をフィードバックするシステムの開発にむけてプロトタイプを開発することであった。国内で多くの学校が採用するGoogle Workplaceの環境を背景に各種アプリをGASで連携させることで試作版とプロトタイプ版を作製し、学校現場で使用した。試作版の評価に際し、教員らに機能や使用感などの聞き取りを行った。また、生徒が使用する授業の参観などから開発を狙うシステムの有用性と改善点を明らかにするとともに、期待される機能について構想し、プロトタイプ初版を開発した。 GoogleWorkplace内の個々のアプリがもっている連携性だけでは補えない機能として、教師と児童生徒双方にとって一覧性の高い閲覧・検索システムが有効であることがわかった。また、実践観察や教師への聞き取り等から、教師がどのような時機に学習者の自由記述を読み、評価や実践改善に活用しているのか、といった視点から、教師と児童生徒の分析結果の表示のあり方やフィードバックの内容について具体的な示唆が明らかになりつつあり、本研究課題のダッシュボードの開発に向けて、を大きく進展させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は予定していたようにGoogleWorkplace上でのプロトタイプ版の開発を行った。当初、プロトタイプ版としての導入に際する課題解消のためにGoogleWorkplaceの活用を選定したが、データ保存のあり方や教員や児童生徒への親和性の高さから、可能な限りGoogleworkplaceでの環境を活用して今後も開発を行うことになった。 また、ふりかえりに関わる自由記述以外の項目についても、これまでシステムなどを使用せずに行われてきた事例や先行実践を参照するなどして検討を行った結果、基本的な自由記述項目は共有しつつも、学校ごとに追加する質問項目をカスタマイズすることによって、学校現場の実践上の課題や教育研究との親和性が高く、実践との関与も高められることが明らかになった。使用に際しては、教師の支援や働きがけ、「ふりかえり」が学習者の主体性の育成に寄与すること、背景となる自己調整学習の理解を促すことによって、実践の改善や向上に資することが捉えられた。 多くのテキストを一覧性を高めて教師と児童生徒にフィードバックできるシステムの有効性は確認できたものの、過剰な分析結果や情報提示は、むしろ教育活動や学習活動を阻害することもまた示唆されたことから、ダッシュボードにおける表示内容や分析手法についての検討事項が明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
導入と情報管理の観点から、今後もGoogle Workplaceを基盤に開発をすすめる。自由記述の検索機能と一覧化によるフィードバックとともに、クラスや授業日、単元等の単位でのグラフ化を行う分析結果のフィードバックについて検討を行う。また、教師の使用時機に適したフィードバックのあり方や記入進捗管理などのしやすさを追究するとともに、システムの使用によって、自己調整学習に関わる下位スキルの育成や向上を捉えるためのテキスト分析を実施する。 加えて、本システムはシステムの使用だけでなく、教師の評価と指導が一体化することによって、「自らの学習を調整する態度」の育成に資するものとなるとして、開発を進めている。実践改善と合わせて本システムの開発をすすめる事によって、本研究課題の目的を遂行する。
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Causes of Carryover |
無料で開発が進められるGoogleworkplace上での開発をすすめ、さらにそれを継続するために試作・プロトタイプ版の開発を研究チーム内で行った。より高度な開発には委託が必要であり、本年度分人件費を費やすこととしたため、人件費の多くを繰越、次年度の開発研究に用いることとした。
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