2021 Fiscal Year Research-status Report
Practical knowledge for risk management of kindergarden teachers: Ability to overcome the dilenma
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21K18503
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
村越 真 静岡大学, 教育学部, 教授 (30210032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 知里 常葉大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (90400704)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 実践知 / リスク / 遊具 / 保育者の専門性 / リスク認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
①昨年度以前に記録した幼稚園での年度初めの安全研修の発話記録をデータとする質的研究を行い、遊びの意義と危険回避というジレンマの中での幼稚園教員の一般的なリスクやリスク累加要因の捉えやそれに基づく対応方法の多様性を把握した。SCAT(大谷、2019)による質的分析の結果、環境が備えるべき安全性を前提とし、遊びの複合化や子どもなりの「遊びの知恵」の結果、本来と異なる遊具が使い方がなされることによってリスクが累加することへの気づき、それに対して保育者が見守りつつ、明確な禁止行為から能力に応じて個別対応しながらリスク制御を行うことで、遊びの意義とリスク回避のバランスを取っていることが明らかとなった。リスク累加への感受性とそれに応じた対応の調整は保育者の実践知として解釈された。結果は論文として発表した(河合他、2022) ②幼稚園での安全に関する研修に参加し、参与的に遊具の持つ危険性や安全確保についての議論を記録した(村越・河合が担当)。 ③教育実習生に対して、園内の各遊具のリスクをどのように認知しているかについての質問紙調査を実施した(河合が担当)。 ④リスキーな遊具としてツリーハウスを設置することが決まったので、以上の結果とその設置計画を踏まえて、データ収集のための計画の精緻化を図った(村越・遠藤および協力者柴田・青山) ⑤これまでの研究成果を元に、大学の公開講座として子どもを持つ一般保護者を対象としたリスクマネジメント講座を開講し、遊びの意義を維持しながらリスクを回避する考え方について保護者に提供した(村越・柴田が担当)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来初年度にリスキーな遊具を導入する予定であったが、大学の設備認可の関係で2022年度の着工・完成となったため、本来進めるべき遊具を使った遊びに関するデータ収集は全くできなかった。ただし、この点は全体計画の中で吸収可能な見込みである。そのため、(3)と評価した。一方で、データ収集のための計画については精緻化することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、リスキーな遊具の設置を進め、本研究の核となるデータ収集を進め、幼稚園教員のリスクマネジメントの実践知の解明と幼稚園児のリスク把握の発達の把握を図るとともに、実習生・保護者のリスクに対する意識を把握するため、以下の研究を推進する。 ①教職員を対象として、導入される以前の新規の遊具のリスクに対して教職員がどのように捉えているかを把握する質問紙調査を行うとともに、遊具完成前の8~9月、および実際に遊具による遊びが始まって数ヶ月たった12月に面接調査を実施し、その結果を質的に把握する。 ②保護者を対象として、公園遊具遊びにおけるリスクやそれに対する対応に関する意識を把握する質問紙調査を実施するとともに、少数の保護者に対するインタビュー調査を実施する。 ③園児による遊びの把握:遊具完成後、最初の週は3回程度、その後は週1回程度固定カメラによって遊び状況を記録する。 ④園児による遊びにおけるリスク意識の把握:完成直前および、完成後に遊び方についての話し合いをする年長児のクラスの様子を記録し、園児が遊具のリスクをどのように捉え、また自発的にどのような対応方法を考えることができるかを明らかにする。(①~④は村越が担当し、学術研究員の河合が補佐する。全般において幼稚園での協力者である柴田、青山が協力する) ⑤以上を元に、研修プログラムについての検討を行う(担当は遠藤)
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Causes of Carryover |
計画していたツリーハウス設置手続きの遅れのため、2022年度に繰り越しとなったため。設置については2022年度に計画中であり、未使用額はそのままツリーハウスの設置の一部に当てる
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Research Products
(6 results)