2021 Fiscal Year Research-status Report
歴史学習固有のハイパー学力を育成する評価モデル開発研究
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21K18507
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
宇都宮 明子 島根大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (40611546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 信之 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (20345771)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | ハイパー学力 / 歴史学習 / 認知系・非認知系コンピテンシー / 評価モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度の目的は、認知系・非認知系コンピテンシーを輻輳的に働かせて育成するハイパー学力の評価モデルの開発に向けて、ドイツでは学習指導要領において認知系・非認知系コンピテンシーをどのように機能させた教授・学習を構想しているのかを解明することであった。 一般教育学研究の観点からは、チューリンゲン州のビルドゥング計画を分析対象とした。ビルドゥング計画では、ビルドゥングを基盤に、自己の次元、社会の次元、事象の次元からなる三次元構成の能力枠で、認知能力(事象コンピテンシー)と非認知能力(自己・社会コンピテンシー)を輻輳的・相互作用的に育成を図っていることを解明した。 歴史教育学研究の観点からは、バーデン・ヴュルテンベルク州歴史科計画を分析対象とした。歴史科計画では、歴史的思考力を育成するために、コンピテンシーの認知的側面と非認知的側面を関連づけ,学習過程プロセスコンピテンシーと教科内容コンピテンシーを統合的に機能させる歴史学習が図られていることを検討した。 本年度の研究では、コンピテンシー・ベースを実現しているドイツでは一般教育学、歴史教育学のいずれの研究においても、認知系・非認知系コンピテンシーを輻輳的に働かせる教授・学習原理が構築されていることを解明することができた。この研究成果は、来年度以降予定している、ドイツにおける評価モデルの考察、日本の歴史教育への適用の検討を可能にするものであり、十分な成果を上げることができたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していた、ドイツの学習指導要領における認知系・非認知系コンピテンシーが機能する教授・学習の解明という目的を達成することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ドイツの歴史学習における認知系・非認知系コンピテンシー育成の評価モデルを考察すること、ドイツの認知系・非認知系コンピテンシーの育成原理と評価モデルの日本の歴史教育への適用可能性を検討すること、日本の歴史学習におけるハイパー学力としてのコンピテンシー・モデルを考察することをめざしている。
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Causes of Carryover |
今年度は研究代表者、分担者ともにドイツでの調査を予定していたが、コロナ感染が拡大し、断念せざるをえなかった。また、ドイツの研究者の招聘もかなわなかった。海外交流ができなかったため、予算を次年度に回すこととなった。海外出張が可能になるまで調査を延長し、それまでは国内での文献等を中心とした研究を実施する計画である。
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