2022 Fiscal Year Research-status Report
歴史学習固有のハイパー学力を育成する評価モデル開発研究
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21K18507
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
宇都宮 明子 島根大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (40611546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 信之 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (20345771)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | ハイパー学力 / 歴史学習 / 認知系・非認知系コンピテンシー / 評価モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度の目的は、認知系・非認知系コンピテンシーを輻輳的に働かせて育成するハイパー学力の評価モデルの開発に向けて、日本では認知系・非認知系コンピテンシーをどのように機能させた教授・学習を構想しているのかを解明することであった。 本年度は、小中接続の観点から、生活科の社会領域において認知系・非認知系コンピテンシーを輻輳的に育成する授業構想を理論と実践の両面から検討した。 理論的考察では、①活動主義,②社会領域と理科領域という生活科内での水平的な統合論理の欠如,③3学年以降の社会科や理科といった教科との垂直的な接続論理の欠如という生活科の3つの課題を克服する方策を検討し、その結果、認知系・非認知系コンピテンシーを確定し,評価規準を設定することで解消できることを究明した。 実践的考察では、理論的考察を踏まえ、生活科の課題を克服した授業と評価規準を開発した。そして、兵庫県西宮市の小学校で開発した授業を実践し、評価することで、開発授業と評価規準の有効性を検証した。この検証から、開発した授業と評価規準は、生活科の課題を克服する上で、認知系コンピテンシーと非認知系コンピテンシーが有効に機能しており、認知系・非認知系コンピテンシーを輻輳的に育成する生活科授業になりえていることを明らかにした。 本年度の研究では、小学校社会科における歴史領域、中学校歴史的分野に接続する生活科において、認知系・非認知系コンピテンシーを輻輳的に働かせる教授・学習原理を解明することができた。この研究成果は、来年度以降予定している、日本の中等歴史教育への適用の検討を可能にするものであり、十分な成果を上げることができたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は中等段階の歴史教育を対象としているが、累積的に育成が図られる認知系・非認知系コンピテンシーの考察では、初等段階の歴史学習におけるコンピテンシーの検討が不可欠であることが判明し、本年度は初等段階のコンピテンシーの検討に多くの時間をかけたので、中等段階の歴史教育の検討がまだできていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果で、ドイツにおける認知系・非認知系コンピテンシーを機能させる教授・学習原理、それを踏まえた初等段階の歴史学習における認知系・非認知系コンピテンシーを解明することができた。 その成果に基づいて、初等段階の歴史学習との接続を考慮し、ドイツにおける教授学習原理を援用して、中等段階の歴史教育における認知系・非認知系コンピテンシーを輻輳的な育成を可能にする評価モデルを開発する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は研究代表者、分担者ともにドイツでの調査を予定していたが、コロナ感染が拡大し、断念せざるをえなかった。また、ドイツの研究者の招聘もかなわなかった。海外交流ができなかったため、予算を次年度に回すこととなった。海外出張が可能になるまで調査を延長し、それまでは国内での文献等を中心とした研究を実施する計画である。
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