2022 Fiscal Year Research-status Report
知的障害のある子どもの自立的な意思決定を支援する主権者教育プログラム開発研究
Project/Area Number |
21K18509
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
桑原 敏典 岡山大学, 教育学域, 教授 (70294395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 宏史 岡山大学, 教育学域, 准教授 (20513469)
平田 仁胤 岡山大学, 教育学域, 准教授 (50582227)
吉利 宗久 岡山大学, 教育学域, 教授 (60346111)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 主権者教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、知的障害のある子どもに対する主権者教育プログラムの開発を目指している。開発にあたっては学習者の自立的な意思決定を支援することに焦点をあて、知的障害のある人の政治参加を保障する仕組みの構築に寄与しようとしている。最終的には、特別支援学校小学部、中学部、高等部における主権者教育プログラムを、一貫した原理に基づいて開発・実践し、その効果を実証したい。 2022年度においては、第一に、知的障害のある子供の意思決定に関する先行研究の分析を行った。そのうえで、知的障害のある子供の自主的自立的な意思決定を保障する教育の原理を、社会科教育の意思決定学習論をベースとしながら解明しようとした。第二に、政治哲学の成果に学び、社会契約論の基盤となっている考え方を検討したうえで、現状の主権者教育の背景となっている原理とその限界について考察した。そのうえで、知的障害のある方の主権者としての権利を保障し得る政治参加のあり方について検討した。従来の社会科教育における主権者教育は、そのねらいを、主権者としての権利を行使することができるにも関わらず、行使しない、あるいは行使しようとしない若者を念頭において設定していた。その背景には、行使しようと思えば誰もが主権者としての権利を行使できる制度が整備されているという現状に対する認識がある。しかし、現実は必ずしもそうではない。主権者としての権利を他者と同様に行使し得ない構成員がいたとき、主権者教育の前提はどのように変化し、その目標や原理はどのように変わっていくのか、この点についての考察を核に2022年度の事業を展開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症の影響により、前年度の計画が完了していない部分があって全体的に執行が遅れているが、今後取り戻すことができる見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナ感染症による行動制限はなくなり、学校生活はコロナ前の状態に戻りつつあるので、主権者教育カリキュラムの開発・実践のための調査の準備を進め、2023年度内には調査を完了させる。
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Causes of Carryover |
前年度の計画が完了していなかったため、2022年度にずれ込んだ事業があり、当初予定の計画を全て実施できなかったため。
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