2021 Fiscal Year Research-status Report
Science Ethics Education in Primary and Secondary Educations
Project/Area Number |
21K18510
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
古賀 信吉 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (30240873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 由美子 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (40206545)
谷田 親彦 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (20374811)
竹下 俊治 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (90236456)
山崎 博史 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (70294494)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 科学教育 / 倫理教育 / 道徳教育 / 初等教育 / 中等教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては,科学的倫理に根差して現代社会における科学の本質について創造的に思考し,模索する能力の育成を目指した初等・中等教育における科学倫理教育の概観と教育方略の検討のために7項目の研究項目を設定した。このうち,2021年度は,(1)科学倫理コア概念の模索及び(2)学習素材の発掘と教材化の2項目を重点項目として研究を推進した。 研究項目(1)においては,現代社会における科学の関連する諸問題について,その科学の倫理との関連性の観点から問題を抽出した。また,「科学者および技術者の倫理」を「科学の倫理」から派生した一部と捉え,国内外の科学者および技術者の倫理憲章と専門家を対象とした倫理教育を調査し,そこで取り上げられている科学倫理の項目と内容について整理した。さらに,学習指導要領を精査し,小・中学校「道徳」における科学に関連する内容を抽出した。また,道徳教育において求められている小・中・高等学校「理科」および中学校「技術・家庭」において育成すべき資質能力を明確化した。これらの調査を通じて,初等・中等教育における科学倫理教育でのコア概念と内容を項目化するための基盤情報を整備した。 研究項目(2)においては,中学校「道徳」の教科書分析により,特に,「生命の尊さ」,「自然愛護」および「真理の探究,創造」にかかわる素材を抽出し,それらを理科における学習内容と関連付けた科学倫理教材として再構成する可能性について検討した。また,小・中・高等学校「理科」の教科書分析を通じて,生命科学,物質・エネルギー科学,並びに自然環境・防災科学の各領域において科学倫理に関連した学習内容を抽出し,科学倫理教材としての活用の可能性を検討した。さらに,中・高等学校での理科を主体とした探究的な学習活動において科学倫理にかかわる学習場面を創出することを考え,学習活動を構成する野外調査や実験観察の素材を探査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度に重点項目とした研究項目(1)科学倫理コア概念の模索及び(2)学習素材の発掘と教材化については,当初の予定に照らしておおむね順調に進展している。研究項目(1)では,文献研究により科学倫理教育で取り上げるべきコア概念と内容についての基盤情報が得られた。2022年度も継続的に研究を推進し,科学倫理教育のコア概念と内容の項目化に向けて基盤情報の充実を図る。研究項目(2)の成果は,2022年度において研究項目(3) 学習プログラムの開発において素材として活用することができる。研究項目(2)については,さらに素材探査のための基礎的研究と発掘した素材の教材化に精力的に取り組み,種々の学習段階および学習内容を想定した多様な学習プログラムの開発のための素材を提供する。なお,新型コロナ感染症拡大の影響により,素材探査のための基礎研究の一部について計画を変更し,次年度以降に実施予定であった素材探査研究と内容を入れ替えて実施した。未実施となった研究内容については,2022年度に実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度においては,前年度に重点項目とした研究項目(1)科学倫理コア概念の模索及び(2)学習素材の発掘と教材化を継続的および発展的に推進する。また,これらの成果をもとにして研究項目(3)学習プログラムの開発に着手する。研究項目(3)の成果は,随時,研究項目(4)教育実践的研究において,大学における試行授業並びに研究協力校である小・中・高等学校における教育実践を介して評価する。 研究項目(1)では,文献研究により基盤情報をさらに拡充し,初等・中等教育における科学倫理教育で取り上げるコア概念と内容を精選する。 研究項目(2)では,さらに国内外の科学倫理にかかわる教育実践例などをもとに素材を抽出する。また,生命科学,物質・エネルギー科学,並びに自然環境・防災科学の各領域において素材探査のための基礎的研究と発掘した素材の教材化をさらに精力的に推進し,多種多様な科学教材を開発する。 研究項目(3)では,研究項目(2)で開発した教材を活用して探究的な学習プログラムの開発を行う。また,学習プログラムの異なる場面で,科学倫理に関する学習活動を取り入れるための方略を練るとともに,その学習場面での学習活動の具体を模索する。これにより,科学と科学倫理の学習を効果的に融合した学習プログラムの開発を目指す。 研究項目(4)では,研究項目(3)で開発したそれぞれの学習プログラムを教育実践に供するための具体的な教育実践計画を策定する。また,それぞれの実践計画ごとに,生徒の学習成果および学習プログラムの有用性に関する評価の視点と尺度を開発する。開発した教育実践計画に従い,大学における試行授業及び研究協力校における実践的研究を展開する。それらの成果を,研究項目(2)及び(3)にフィードバックし,教材および学習プログラムの改善を図る。
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Causes of Carryover |
2021年度においては,新型コロナ感染症拡大の影響により,素材探査のための基礎研究の一部について計画を変更し,次年度以降に実施予定であった素材探査研究と内容を入れ替えて実施した。これに伴い野外調査,実験補助,資料整理のための学生アルバイトの雇用を取りやめた。また,それに伴う依頼測定,英文校正等の支出件数が減少した。これらにより,「人件費・謝金」および「その他」の経費において残金を生じた。未実施の研究内容は,2022年度に実施する予定であり,2021年度の残金はその経費として使用する。
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Research Products
(9 results)