2021 Fiscal Year Research-status Report
Building Archaives for University Reform by Sharing Knowledge on Failure
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21K18514
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
小方 直幸 香川大学, 教育学部, 教授 (20314776)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 大学改革 / 学長 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は大学改革の中でも失敗事例に着目し、その知見を共有して今後の大学改革に活かすことを目的としている。そのため、個別の改革事例に関わる情報収集を行った上で、それを管理職が実際に活用できるようにケース素材として蓄積することを目的としている。初年度は事例収集の前段階としての文献調査に加え、学長が大学改革をどのように捉えているかに関する予備調査を実施した。調査票は全国の755大学に発送し、2022年の2-3月にかけて、紙媒体とWeb調査を併用する形で実施した。有効回収数は274件、回収率は36%であった。設置者別の内訳は、国立が16%、公立が15%、そして私立が70%である。 学長業務に関しては以下の点が明らかとなった。業務学内運営の実践が75%、学外の諸活動が13%、そして政策などの学びや情報収集が13%であった。次いで学長のフラストレーションについては「財源不足」が78%と突出して多く、アメリカでも同様の結果であった。次いで多いのは「考えたり振り返ったりする時間の不足」の50%である。そして3番目に多いのは「国や自治体の政策」の46%である。 大学改革については、改革を試みた中で、「改革に着手できた」が7.4割、「改革に着手できなかった」が2.6割であった。ただし、改革に着手できたものの内訳をみると、「うまくいった」は6割である。また3割が「判断が難しい」としている。なぜそうなのかは、さらなる検証が必要だが、政策に対するフラストレーションの高さを鑑みれば、政策対応が自大学をよくすることと必ずしも直結しないという点も、1つの解釈として浮上する。なお「改革に着手できなかった」要因としてもっと挙げられていたのは「危機感の共有が不足している」の58%、次いで「改革に協力的な雰囲気が醸成されていない」の52%、そして「改革の意義を教職員に理解してもらえなかった」の48%であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の影響で、改革事例の収集に向けた下準備のための訪問調査等が行えなかったが、全国的な改革動向と学長の意識に関する基礎的な調査は実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の学長調査の結果を踏まえて、大学改革についての学長の意識やその規定要因に関する分析を進める一方、今回の調査において、訪問調査等に協力可能な大学を募ることができたため、大学改革の事例に関する調査を、とりわけ「改革に着手できない」「着手したがうまくいかない」「着手した評価が困難」という事項に焦点をあてて訪問調査の準備を進め、いくつかの事例について深掘りしていく。そして改革の挫折や評価の困難さの背景にあるメカニズムを探る。
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