2021 Fiscal Year Research-status Report
先端技術導入による公教育の構造変容とマイノリティの包摂可能性に関する総合的研究
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21K18530
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
斎藤 里美 東洋大学, 文学部, 教授 (90202077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 元 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特任教授 (60225050)
額賀 美紗子 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (60586361)
堀本 麻由子 東洋大学, 文学部, 准教授 (70512630)
山名 淳 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (80240050)
高橋 史子 東京大学, 教養学部, 特任講師 (80751544)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 先端技術 / ICT / 公教育 / 構造変容 / マイノリティ / 社会的包摂 / 格差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、公教育における先端技術の導入がマイノリティの子どもや教師・学校、家族・地域・市民社会に及ぼす影響(構造変容等)を理論的・ 実証的に明らかにし、マイノリティの包摂可能性を明示することを目的としている。2021年度はとくに、次の3つのサブテーマを掲げ、研究を行った。 第1は「移民の社会統合における公教育の役割-ウィズ/ポストコロナ時代における包摂的な政策と実践を展望する-」(額賀美紗子と高橋史子が担当)、第2は「コミュニティ形成における協同と教育の再検討」(堀本麻由子と山名淳が担当)、第3は「技術革新とエンハンスメントの時代における教育学の課題―「個別最適化された学び」は公教育に何をもたらすか―」(木村元と斎藤里美が担当)である。いずれも日本教育学会第80回大会(2021年8月)において課題研究を組織し、シンポジスト、指定討論者、および多数の参加者をまじえて討議を行った。これらの成果については、日本教育学会の『教育学研究』において公開予定である。 また、移民の社会統合プロセスを解明するため、移民第二世代の若者たちの経験がどのような教育・職業達成にむすびついたかを、とくに移民第二世代の中の多様性に着目しながら考察した。具体的には、このテーマで膨大な調査データを報告した先行研究『日本社会の移民第二世代―エスニシティ間比較でとらえる「ニューカマー」の子どもたちの今』をグループ全体で分析考察し、研究の枠組みを深めた。 さらに2021年度後半には、公教育における先端技術導入とマイノリティの包摂可能性に関する実証的研究として、離島におけるICT活用が及ぼす公教育とコミュニティ形成への影響に関する調査を実施した。具体的には、山名および堀本が隠岐島前教育魅力化プロジェクト関係者へのインタビュー調査と関係各所への訪問調査を行った。またその調査結果を本研究グループで報告し、共有をはかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本教育学会大会課題研究を基礎とした研究枠組みの確定作業は、研究計画どおり進捗した。とりわけ、『教育学研究』に研究成果が公開されることでさらなるフィードバックと進展が得られることが期待される。 また、離島におけるICT活用がもたらす公教育とコミュニティへの影響を明らかにするための「隠岐島前教育魅力化プロジェクト」に関する調査研究も比較的順調に進んでおり、今後の継続により研究成果が期待できる。 一方、2021年度から2022年度にかけて都内の小・中・高校やNPOにおいて先端技術導入とマイノリティの包摂可能性に関する聞き取り調査を実施する予定であったが、東京都でまん延防止等重点措置期間が長く続いたことから、調査開始が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナ感染症の状況が見通せないなかでも研究を推進していくために、都内の学校・NPOへの聞き取り調査の実施計画を実施可能なかたちに代えて再検討する予定である。隠岐島前地域での調査研究は今後も継続予定である。 また2022年度から2023年度前半に予定していた海外調査については、各担当者が時期を選んで可能な範囲で実施する。また実際に海外におもむくことができない場合を想定し、オンラインによる調査実施が可能かについても検討する。先端技術導入とマイノリティの包摂可能性に関する理論的、政策的研究については、これまで同様、文献調査を継続し、進展させる予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度は東京都で新型コロナ感染症の拡大が長期にわたって続き、海外出張および国内出張が実施しにくかったこと、また東京都でまん延防止等重点措置期間が長く続き、調査協力が得にくかったことから、予定していた出張費および移動費の執行を2022年度に執行することとした。具体的には、可能な範囲でアメリカ、イギリス、韓国への海外出張を実施すること、また国内では隠岐島前地域への国内出張を数名程度で実施すること、さらには都内での移動を延べ10回程度予定している。
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Research Products
(11 results)