2021 Fiscal Year Research-status Report
知的障害児(者)における「内言」の可能性と新たなコミュニケーションモデルの検討
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21K18544
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Research Institution | Ueda Women's Junior College |
Principal Investigator |
大塚 美奈子 上田女子短期大学, 幼児教育学科, 専任講師 (10884398)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 聞き取り調査 / 記録 / 指筆談 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「重度知的障害児者が健常児者と同等レベルの内言(意思や思考)を有している可能性について、指筆談を介して表出された言葉を分析することを通して検討すること」である。2021年度は、知的障害児者70人からの指筆談の聞き取り調査を計画していたが、指筆談支援者からの情報提供が進み、調査件数が上がり、82人の聞き取り調査データが収集でき、予備調査のデータ23人と合わせ、105人分の聞き取り調査データが収集できた。対象児者は、全て知的障害中度~重度に該当し、障害種別では、自閉スペクトラム症70人、肢体不自由20人、その他15人となっている。対象ごとに指筆談の様子を記録し、指筆談後は実際に障害者本人や保護者から指筆談を用いた援助に至った経緯や本人が語った内容について質問した。特に自閉スペクトラム症児の保護者10人からは指筆談を使ってコミュニケーションをとるようになってから保護者自身の対象児への気持ちが変化し、接し方が変わり、その結果、本人の行動が変化したという話を聞くことができた。共通していた内容は、普段は、表出言語は少なく、意思の疎通が難しいと見えるが、指筆談を介してみると意思を持っていることが確認できたということであった。この点については、研究目的の根幹に関わる部分であり、貴重な聞き取りであったと考える。研究計画では、障害種別の調査人数を明記していなかったが、自閉スペクトラム症については、聞き取り調査を進める中で指筆談の利用者が多いことが分かったため、今後、聞き取り調査を進め、100例以上を収集し、障害種別の特徴の分析を行うことが可能であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、コロナ感染の影響もあり、個別に指筆談対象者に聞き取り調査を行う予定であったが、指筆談援助者の協力を得て、「指筆談学習会」への参加型調査を行うことができるようになったため、一度に20人以上の記録を撮ることができ、ほぼ計画通りに進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、105例の指筆談を記録できているが、記録を書き起こし、テキストデータ化する作業を進める。この書き起こしの作業に時間がかかるのでアルバイトを導入し、進める予定である。自閉スペクトラム症の事例は、100例を目標にし、残り20人程度の聞き取り調査を行い、データ化ができた時点でテキスト分析を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ感染対策のため、県外出張が予定より進まなかったため、聞き取り調査が遅れ、それに伴うデータ化の作業に必要なPC等の物品購入や導入するアルバイトの費用等も発生しなかったため。
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