2021 Fiscal Year Research-status Report
オペラントホイールランニング課題を用いた行動嗜癖の病態メカニズムの解明
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21K18548
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
金田 勝幸 金沢大学, 薬学系, 教授 (30421366)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 行動嗜癖 / ドパミン / セロトニン / 薬物依存 / 側坐核 / ランニングホイール / オペラント / ネット・ゲーム依存 |
Outline of Annual Research Achievements |
社会生活への悪影響にもかかわらず、ギャンブル、ゲーム、ネットなどの特定の行動にのめり込んでしまう行動嗜癖に対する治療的介入法の開発が求められている。しかし、嗜癖の病態メカニズム研究は遅れており、不明な点が多い。よって、適切な動物モデルを構築し、これを解明する必要がある。本研究では、マウスの執拗なランニングホイール(RW)回転行動に着目することで、独自の動物モデル実験系を構築し、行動嗜癖の脳神経回路・分子メカニズムを解明することを目的とする。 本年度は独自のオペラントホイールランニング課題を構築した。マウスが鼻先を穴に一定回数挿入するとRWのブレーキが解除され、その後の1分間、RWを回転させることができる。鼻先挿入回数はRWへの欲求を、1分間当たりの回転時間はRWによる快楽を反映する。 本実験系を用いて、薬物依存との関係が深いドパミンおよびセロトニン神経伝達の役割を調べるために、各種受容体アンタゴニストの作用を検討したところ、ドパミンD1およびD2受容体、および、セロトニン5-HT2C受容体アンタゴニストの全身性投与により、鼻先挿入回数は有意に減少した。さらに、側坐核にこれらのアンタゴニストを局所投与することによっても、挿入回数が減少した。したがって、RWへの欲求は側坐核でのドパミンD1、D2受容体およびセロトニン5-HT2C受容体を介した神経伝達によって担われていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画を着実に進めているため。
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Strategy for Future Research Activity |
側坐核以外の脳部位の関与を、薬物の局所投与およびc-Fos発現変化を指標として調べるとともに、神経活動変化とRWへの欲求との因果関係を化学遺伝学的手法を用いて解明する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため多くの学会がオンライン開催となり、出張旅費が未使用となったが、翌年度に学会が対面開催になった際には、積極的に多くの学会で成果を発表する予定である。
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