2022 Fiscal Year Research-status Report
放射パタンの知覚・認知特性とその応用についての研究
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21K18561
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 裕之 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (40243977)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 放射状パタン / 幾何学的錯視 / 注意 / 運動錯視 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射状パタンを用いた幾何学的錯視として有名なへリング錯視においては、放射線線上におかれた平行線が湾曲して見える錯視が生じるが、直線ではなく、直線運動するドットを用いると、ドットが湾曲した軌道上を移動するように知覚される現象が報告されている。ドットの運動軌跡と放射線の交差角度の直角方向への過大視が原因と考えられているが、逆に、同心円上をドットが移動する条件では、へリング錯視と逆方向への湾曲が知覚されると予想される。様々な条件で実験的にこの現象が生じることを確認した。刺激配置としては、オービソン錯視と同じであるため、動的オービソン錯視と名づけた。しかし、この錯視では、ドットを目で追った方が錯視が大きくなり、ドットの網膜上の軌跡と背景線の交差は必要ないことがわかり、幾何学的錯視ではなく、運動知覚を元にした説明を試みた(論文を投稿中)。 中央から周辺に輝度勾配がひろがるパタンでは中央部が光って輝くような錯視が生じる。このグレア効果について、時間的要因を検討し、明るさ対比とは真逆の特性を有していることがわかった。また、刺激の構成要素を両眼分離提示しても、奥行き分離提示しても、グレア効果に大きな影響はなかったため、左右眼の情報統合後の現象であるが、奥行き形成前か奥行き形成とは無関係に生じる現象と推定された。 放射状パタンの中央部には注意を引かれることが予想されるため、この仮説を検証するため、ターゲットの検出実験を行った。放射状パタンの中央部、周辺部、および平行線上にアスタリスクを提示し、検出までの反応時間を測定した。その結果は予想に反して、放射状パタンの周辺部にターゲットを提示した方が反応時間が短い被験者が複数おり、平均値にすると、放射状パタンの中央部に提示しても周辺部に提示しても反応時間の差はなく、放射状パタンの中央に注意が集中するという仮説は支持されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に問題なく研究は進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の進展に問題はなく、予定通り進めていく。
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Causes of Carryover |
主に、当初予定していた研究会に遠隔参加したことで、旅費・日当などが不要になったこと、および前年度からの繰り越しがあったことによる。2023年度には対面参加の学会、研究会が増加すると思われるので、次年度使用額は発生しなくなると思われる。
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