2022 Fiscal Year Annual Research Report
Behavioral economics of interactive sports: Building an analytical framework using table tennis as an example
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21K18568
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
本田 秀仁 追手門学院大学, 心理学部, 准教授 (60452017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 一敏 オムロンサイニックエックス株式会社, リサーチアドミニストレイティブディビジョン, シニアリサーチャー (10805774)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 行動経済学 / スポーツ分析 / 意思決定バイアス |
Outline of Annual Research Achievements |
以下に示す2点について取り組んだ。 まず、日本で行われた卓球の公式試合約50試合のプレー内容に関して、前年度にアノテーションが付与されたデータを使用して、プレイヤーの行動に関する分析を進めた。具体的には、得点の入り方(例:どのようなプレーで得点が入ったのか、得点のパターン)がセットの進行に伴ってどのように変化するのかを、状態空間モデルを用いた時系列解析で分析した。その結果、セットの後半になるほど、スマッシュによる得点のパターンがより観察されやすくなることが明らかになった。これは、プレイヤーが試合の進行に伴って攻撃的になり、リスク志向的な行動を取る傾向があることを示唆している。つまり、プレイヤーは試合が進むにつれて、より積極的なプレースタイルに切り替える可能性があることを示唆している。 次に、この知見を基に、後半にリスク志向的になる要因や条件を理論的な視点から分析するために、強化学習モデルを用いたエージェントシミュレーションを実施した。結果として、エージェントは、プレーによって高い利得が得られる確率が高いと仮定すると、リスク志向的になることが明らかになった。この知見は、プレイヤーがセットの進行に伴って生じる潜在的な心理状態の変化について示唆を与えるものである。具体的には、プレイヤーは試合の進行とともにリスクを取ることに対して、それが高い成功確率を持つという信念をより持ちやすくなることを示唆している。 以上、セットの進行に伴うプレイヤーの心理的な変化が戦術や戦略に影響を与えることが明らかになった。これらの結果は、セットの経過による潜在的な心理状態の変化という新たな視点から、卓球の戦術やトレーニング方法に関して示唆を与えるものである。
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