2022 Fiscal Year Research-status Report
The experimental study to explore the determinants of "bullying" - Group closeness, exclusion and aggression
Project/Area Number |
21K18569
|
Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
横田 晋大 広島修道大学, 健康科学部, 教授 (80553031)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
Keywords | 黒い羊効果 / 閉鎖性 / いじめ |
Outline of Annual Research Achievements |
なぜいじめが起きるのかとの問いは、社会心理学をはじめとして様々な社会科学の分野で検討されてきた問いである。社会心理学者は、いじめにつながるオストラシズム(個人を集団成員や集団全体で拒絶・排斥すること)をもたらす心理機構の解明があると仮定し、その存在を検討してきた。しかし、オストラシズムといじめの間には自身でリスクを負うか否かという違いが存在する。そのため、オストラシズムをいじめに発展させる対象者への攻撃行動がなぜ起こるかを明らかにする必要がある。 そこで本研究では、オストラシズムの必要条件が集団の閉鎖性であると考え、実験法を用いて検証する。本研究で扱う閉鎖性とは集団への参加・離脱の困難さである。閉鎖された集団では排斥される側が集団を離脱できないため有効である。そこで、本研究では、閉鎖性が強くなると、オストラシズムが起こり、人々の攻撃性が高まるだろう、との仮説を立て、実験的手法を用いて検証する。 本研究では、黒い羊効果 (Marques, 1986) を検証した実験の追試を行う。黒い羊効果とは、優れた/劣った内集団成員を外集団成員より極端に評価することである。この効果は集団規範を顕現化させると顕著に見られるため、集団の秩序を守るために逸脱者を排除するよう導くオストラシズムを支える心理機構だと言える。 Marques et al. (1988) のStudy 2の実験を追試するため、大学生を対象として調査した。しかし、黒い羊効果自体が得られなかった。そのため、シナリオの改良および対象集団を大学から国に変更して同様の追試を行った。現在、分析を行っている最中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本人を対象とした場合、黒い羊効果を再現することは困難であることが明らかになってきた。それが規範によるものなのか、何らかの混交要因の影響なのかについて、体系的な検討を行う必要が出てきている。そのため、文献のレビューを行い、黒い羊効果に関連する要因の特定を行ってきた。現在、引き続きレビューを続けており、体系的な研究計画を練っているところである。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き文献のレビューは行う一方で、予測される黒い羊効果をもたらす要因を組み込んだ調査を実施し、どのような条件下で黒い羊効果が見られるかを検討する。一方、集団の閉鎖性が重要な要因であることからも、日本の中でも関係流動性(新しい人と出会う機会の多さ)が異なる地点でデータを採取し、その比較を行う。
|
Causes of Carryover |
前述した通り、日本人を対象とした調査において黒い羊効果が再現されず、集団の閉鎖性を検討する前提となる下地が出来上がっていない。そのため、文献のレビューに立ち返り、黒い羊効果を日本人を対象とした調査において再現させる要因の特定を行っていた。そのため、計画にある調査や実験を実施することができず、次年度に持ち越す必要があった。
|