2021 Fiscal Year Research-status Report
ポストディクションとしての自己感:ベイズ事後推論による主体性の因果判断過程の検討
Project/Area Number |
21K18573
|
Research Institution | Advanced Telecommunications Research Institute International |
Principal Investigator |
浅井 智久 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 主任研究員 (50712014)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏原 志保 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 専任研究員 (60910247)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
Keywords | 自己感 / ポストディクション / 脳波 / 行為 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,ポストディクションとしての自己感を実験として検証することである。近年の認知神経科学および心理学的研究は,身体と運動に自己感の起源を求めてきたが,これらの感覚はバックグラウンドで常に自動的に生じているという矛盾を内包していた。なぜなら,誤差の検出時(予測誤差あるいは多感覚間の照合誤差)に初めて,損なわれたものとしてしかこれらの感覚は体験できない,とも従来から議論されていたからである。そこで,自発的なキー押し行為に先立って観察される脳波の収束過程を検討することで,ポストディクティブな自己感が自分の先行する脳活動への後からのラベル付けである可能性を検討した。 まず先行研究から適切な実験課題の調査を行い,自発的なキー押しのタイミングを被験者が事後的に報告する課題を選定し,脳波の計測が同時に可能になるように実験課題の実施環境を準備した。また,脳波マイクロステートを指標とすることで,全脳神経活動の状態遷移を状態空間上で可視化する方法論を開発してきたが,その解析法を適用することで脳波の収束過程を検討していく方針とした。 予備実験の結果から,まず適切に課題を実施できることを確認し,行動データおよび脳波データの収録を確認した。脳波データについては,開発してきた方法で処理ができることまでを確認した。一方で,実験機器の設定の一部は改善の余地があることも見えてきたため,必要な装置の導入および動作テストを踏まえて,本実験に移行していく予定としている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳波実験および解析を担当できる分担研究者を加えたことで,研究計画時の行動実験だけでなく脳活動データを取れる実施環境を用意でき,また予備実験の実施までは完了したため順調に進んでいると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
順次,予備実験から本実験に移行し,まとまった被験者数のデータを集める。行動データおよび脳波データの2つの視点から実験結果の解析を行い,主観報告(行動データ)に先立つ脳活動との対比において,自己感のポストディクション性を検証していく。
|
Causes of Carryover |
本年度は実験環境の整備と予備実験に注力したため,計画していた実験機器の導入と本実験実施を次年度に後ろ倒しすることとした。前期で必要な実験装置の再検討および導入を行い,後期でまとまった数の実験を実施する。
|