2021 Fiscal Year Research-status Report
Construction of analysis via partitions and weights of spaces
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21K18587
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木上 淳 京都大学, 情報学研究科, 教授 (90202035)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 解析学 / ソボレフ空間 / 分割 / 重み |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、距離空間上にソボレフ空間を構成するための基礎理論について考察を行った。コンパクトな距離空間を分割の概念を用いて、離散的なグラフの列で近似し、そのグラフの上の離散的な p-エネルギーを考える。この p-エネルギー列の適切なスケーリング定数として、コンダクタンス定数と近隣格差定数という2種類の定数を提唱し、この2種類の定数が同じ漸近挙動を持つことに相当する p-conductive homogeneity という概念を見出した。そして、ガンマ収束の概念を用いて、p-conductive homogeneity の下では離散的な p-エネルギーがスケーリング極限を持つことを示した。さらに、この性質の下で p が空間のアールフォース等角次元より大きい場合には、p-エネルギーが有界な L^p 関数の全体が反射的かつ可分なバナッハ空間(ソボレフ空間に相当する空間)となること、このバナッハ空間に属する関数が、ある指数のヘルダー連続性を満たすことを証明した。さらに、空間が自己相似集合であり、その縮小率の集合が、有理的な関係を満たすときは、同値なセミノルムと取り替えることによって、p-エネルギーが自己相似性を持つことを示した。また、p-conductive homogeneity の必要十分条件として、Barlow-Bass 及 Kusuoka-Zhou らの先行研究で出された Knight move 条件の一般化に相当する条件を見出した。この一般化された Knight move 条件を示すことにより、局所対称性を持つ自己相似集合の多くのクラスが p-conductive homogeneity を持つことを証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究が当初の目的としていた、コンパクトな距離空間上へのソボレフ空間の構成については、本年度の研究で p-conductive homogeneity という条件を見出し、この条件の下でp-energy やソボレフ空間の相当物が構成できることが証明できている。すなわち、研究の本来の目的の概ね6割は達成されたといえる。また、現在までの研究成果については、100ページを超える論文に纏め、現在、学術雑誌に投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
コンパクトなソボレフ空間上へのソボレフ空間の構成に関して、残された問題として、 ・p が空間の Ahlfors regular conformal 次元以下の場合の、p-エネルギーとその定義域である関数空間の性質、特に関数空間に属する連続関数が、当該の関数空間で稠密か、連続関数の全体の空間で稠密かについて考察を行う。 ・nested fractals などの具体的なクラスの自己相似集合について、その p-conductive homogeneity をどのように証明するのか、さらに局所対称性を持たない自己相似集合についても p-conductive homogeneity をどのように証明するのかについて考察する。 ・ランダムな自己相似集合などのように、p-conductive homogeneity が期待できない距離空間に対して、現在の理論をどのように拡張すればソボレフ空間の構成が可能となるかを考察する。
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Causes of Carryover |
カナダのUBCの M. Murugan 准教授との共同研究のためUBCを2週間程度訪問する予定であったが、コロナ感染症の状況を鑑みて、この計画を、次年度に延期した。さらに、3月に沖縄で開催される予定であった本研究に関連する国際研究集会に、距離空間上の解析の世界的権威である UCLA の M. Bonk 教授を招聘し、その後京都において共同研究を行う予定であったが、コロナ感染症の状況を鑑みて、研究集会が1年間延期となり、この研究計画も次年度に延期した。
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Research Products
(1 results)