2021 Fiscal Year Research-status Report
Analysis for scalable Bayesian calculations
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21K18589
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
鎌谷 研吾 統計数理研究所, モデリング研究系, 准教授 (00569767)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | Scalable Computing / Bayesian statistics / Monte Carlo method / Stochastic process / Random number generation |
Outline of Annual Research Achievements |
ベイズ統計学におけるスケーラブルな計算手法が本研究のテーマである。ここで、スケーラブルな計算手法とは、入力データの増加にたいして計算負荷が急増しない計算手法のことである。ベイズ統計学は統一的な理論体系を持つことが利点であるが、その性質のためにスケーラブルな手法を導入しにくい。計算の都合で解析手順を少し変更すると、体系が崩れてしまうからだ。 近年になって、体系を全く崩さずに適用できるスケーラブル計算手法がいくつか提案された。しかし大きな欠点があった。実装の比較的困難な、確率過程の生成を伴うことである。本研究は、この足かせをはずことを試みる、萌芽的研究である。アルゴリズムの中の一部分の技術革新である。全体のアルゴリズムからすると小さい部分であるが、その解決は極めて困難である。探索的研究スタイルで解決の芽を育て、今後の発展につなげたい。 研究初年度の本年は既存の様々な手法を調べ、それらの応用や発展を中心にしながら、スケーラブルな手法を体系的に調べた。具体的には、a) 区分確定的マルコフ過程の研究を中心に、ブラウン橋を利用する方法など、体系を全く崩さない手法や、b) 関連研究として、体系に対してコントロールの比較的用意な誤差を許容する方法の解析を行った。計算効率をひとまず脇に置き、どのような方法が理論的に実現可能であるかをまとめることで、手法開発の素地を作った。 各国の入国制限はまだ正常化から程遠い。そのため、積極的にオンラインでの情報交換を進めた。とくに、MCM 2021で区分確定的マルコフ過程のセッションの提案や、IASC-ARS 2022で区分確定的マルコフ過程の高次元での性質の基調講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
萌芽的研究のため、早い段階での直接的な成果の導出を期待するものではない。海外交流の難しさは想定どおりであり、代わりとしてオンラインでの交流を積極的に行い、最先端の研究の知見を得た。また、オフラインでの国際交流が難しいことから、積極的に国内でのオンライン、オフライン交流を進めている。国内の研究者は技術力が高く、そうした知見や協力を得ることは今後の研究の可能性を高める。
ただし、コロナ禍でも多少の国内出張の可能性を見込んでいたが、実際にはコロナウィルス感染症の影響が極めて強い状況が続き、実施可能な状況ではなかった。前述のように、オンライン交流を積極的に行い、その影響を最小限にするように試みた。また、高性能の計算機の購入を予定していたが、国際的な物流の遅れからか購入を予定していた機種の発表はなく、翌年度に購入を持ち越した。計算機を使った研究が本格化するのが二年目以降であったため、研究の進展への影響は大きくない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は理論的な研究とともに、計算機を利用した実験を進める必要がある。本研究では、革新的な計算のアイデアの発見が目標であり、その芽を育てるために計算実験は欠かせない。本年度にスケーラブルな手法を体系的にまとめたことで、様々な手法を提案する素地ができた。しかしながら理論や直感だけでは計算手法の発展は完成しない。実際に計算をすることで、計算効率の面から手法を再び見直す必要がある。適当な計算機器の準備を行う。 オンラインでの研究交流についてはひきつづき積極的に行いたい。交流の範囲は確率過程やモンテカルロ法の枠にとらわれる必要はない。数値最適化、微分方程式の数値解法と広い意味の確率論の研究者とも積極的な意見交換を行いたい。研究集会や学会のセッション開催など、様々な機会で、今後につながる国内でのネットワークの作成を試みる。また、情報科学分野の研究集会に積極的に参加し、情報収集を行う必要があるだろう。革新的アイデアの芽が見つかるかもしれない。 今後の海外交流の見通しとして、研究者招聘はいまだ極めて難しい状況が続くものの、海外訪問は容易になっていくだろう。2023年のBayesCompをはじめ、可能であれば積極的に国際会議での現地参加および現地交流の機会を探る。とくに研究期間の最後の一年間のうちに海外研究者の招聘および訪問により、密度の濃い研究交流を目指す。研究交流は少ない回数で濃い交流を試みる。研究課題終了後の国内・国際共同研究につなげることを目指す。
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Causes of Carryover |
「現在までの進捗状況」でも記載したが、コロナ禍でも多少の国内出張の可能性を見込んでいたが、実際にはコロナウィルス感染症の影響が極めて強い状況が続き、実施可能な状況ではなかった。そのため、旅費支出はなく、次年度以降にまわした。
また、高性能の計算機の購入を予定していたが、国際的な物流の遅れからか購入を予定していた機種の発表はなく、翌年度に購入を持ち越した。計算機を使った研究が本格化するのが二年目以降であったため、研究の進展への影響は大きくない。
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Research Products
(6 results)