2021 Fiscal Year Research-status Report
連続変数光量子シミュレータで探る波束の量子干渉ダイナミクス
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21K18593
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武田 俊太郎 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (80737304)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 量子シミュレーション / 光量子情報処理 / 連続量量子情報処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、多彩な物理・化学現象を解き明かす新しいシミュレーションツールの開発に挑む。このため、従来、量子系の粒子数・スピンなどの離散変数のシミュレーションに用いられていた「量子シミュレーション」の手法を発展させ、連続変数(位置・運動量や振幅・位相など)のシミュレーションにも適用可能な新しい量子シミュレータを提案し、申請者独自の光技術により原理実証を行うことを目指す。
光を用いた連続変数量子シミュレータを実現するには、初期状態の準備と、その状態に特定のハミルトニアンの下での時間発展を引き起こすためのユニタリ変換、そして終状態を評価するための測定系が必要である。2021年度は、まずこのユニタリ変換を行うための光回路の構築を進めた。今回は、「調和ポテンシャル中における時間発展」を実現するために、そのユニタリ変換に相当するガウス型量子ゲートを実装する光回路を設計した。設計した回路は、測定型ゲートと呼ばれる実装方法を採用しており、補助光・測定・フィードフォワード(測定結果に基づく操作)を利用してゲートを実装する。そこで、測定型ゲートの実装に必要な補助光となるスクイーズド光の光源、測定に必要なホモダイン測定器を開発した。また、フィードフォワードは、古典信号処理で実装する方法を考案した。以上の技術とアイデアを組み合わせ、実際にガウス型量子ゲートを実装する光回路を完成させた。その動作検証を行い、本研究に十分な精度で動作することが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で目的とする量子シミュレータを実装する上で最も重要な部分であるユニタリ変換の光回路の構築・動作確認が完了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、量子シミュレータの初期状態を準備する光学系を構築する。その光学系を、2021年度に開発したユニタリ変換光回路と組み合わせることで、量子シミュレータの動作原理実証実験へと進める予定である。
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Causes of Carryover |
1年目に必要と考えていた光学部品・電子回路部品の多くは、別の実験系の部品を流用することで代用することができた。このため、次年度使用額が生じたものの、実験自体は計画通り順調に進んでいる。
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