2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K18607
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
白濱 圭也 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (70251486)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 物性物理 / スピントロニクス / 低温物性 / 量子流体固体 / ヘリウム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、液体ヘリウムにおけるスピントロニクスの開拓を目指して、液体3Heおよび3He-4He混合液中で渦度生成により誘起される3He核スピン流を、白金に代表される金属壁中の電子スピンホール電流に変換する技術の開発を行うものである。 2022年度は、2021年度に続いて本研究を行うための希釈冷凍機装置の開発を行った。本研究の実験には、液体3Heおよびおよび3He-4He混合液が十分にフェルミ縮退する10mK以下の低温が必要となる。このような超低温度は希釈冷凍機、または希釈冷凍機と核断熱消磁装置の組み合わせにより実現可能であるが、近年の液体ヘリウムの入手難により、従来の冷凍装置の運用が困難となった。このため、現有の希釈冷凍機をパルスチューブ冷凍機と結合させて、無冷媒希釈冷凍機として動作させることを試みた。希釈冷凍機ユニットを4K程度まで予冷する機構として、ヘリウムガスを循環する装置の開発を行った。21年度までの装置を全面的に作り直し、4Kで1.5Wの冷凍能力を有するGM冷凍機を2台装着した装置を新たに開発した。現在その冷却試験を開始したところである。 スピン流検出実験については、液体の流速と金属壁として用いる白金膜の厚みを検討して具体的な実験条件を決定し、それに基づいたスピンホール電流の詳細な見積と実験装置の設計を行った。実験装置としては、超流動特性の測定に用いられるねじれ振動子の容器壁を白金膜でコートして、ねじれ振動で誘起される振動流によりスピン流を生成する手法を計画している。さらに、多孔性を有する金属を液体ヘリウムの流路に用いることで、渦度および乱流状態を生成するという新たな着想を得た。この方法におけるスピン流検出の可能性について、検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、液体ヘリウムを使用しない無冷媒希釈冷凍機を用いる必要があり、その製作に時間が費やされている。そのためスピン流検出の実験装置製作には至っていない。従って進捗はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
無冷媒希釈冷凍機の動作試験を成功させた後、スピン流検出装置の製作を進めていく。また、PrNi5核断熱消磁装置の製作も並行して行う。多孔体を利用した渦度生成とスピン流検出についても装置製作を進める予定である。
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Causes of Carryover |
希釈冷凍機装置の製作作業と動作確認試験に時間を要したため、次年度使用額が生じた。現在開発中の希釈冷凍機装置の正常動作を確認した後、ヘリウムスピン流検出装置の開発に経費を使用する計画である。
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Research Products
(6 results)