2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K18624
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
稲田 聡明 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教 (20779269)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 中性子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、通常の中性子イメージングで取得されるデジタル画像に対して、深層学習によるバーテックス位置の推定を行うことで解像度をエンハンスする、「AI超解像」技術を応用する。入射中性子はCMOS表面にコーティングされた厚さ200 nmの 10B層で捕獲反応(n+10B→7Li+α)を起こし、二次粒子である 7Liとα粒子がシリコン層で電離反応によるトラック(~5 μm)を残す。シリコン層に電圧を印加することで、生成したチャージをピクセル(~10 μm角)までドリフトさせ、アンプして電圧信号として読み出す。 チャージはドリフト中に拡散及びクーロン反発(空間電荷効果)して、数ピクセルの幅に広がってしまうため、空間分解能は通常数十μmとなる。このチャージクラスタ(「粗視画像」)の重心を用いてバーテックスの位置を推定する従来の手法により数μmの分解能を得ることができる一方、二次粒子が等方的に崩壊するため、その到来方向の不定性がこの分解能をリミットする要因となる。そこで、粗視画像のクラスタパターンから二次粒子の到来方向を推定することでさらに高い分解能を得る。本推定を深層学習が得意とするCNN (convolutional neural network)として定式化するため、GEANT4で生成した二次粒子トラックが与える粗視画像を電磁シミュレータにより計算し、上記バーテックス位置と対応づけたデータセットを生成した。GPUを用いて訓練させたモデルの性能を評価するため、中性子の実データに適用して分解能の向上を確認した。
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