2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of a periodically-free-falling laser interferometric gravitational-wave detector
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21K18626
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川村 静児 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (40301725)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 重力波 / レーザー干渉計 / 周期的無重力 / 一般相対性理論 / ブラックホール連星 |
Outline of Annual Research Achievements |
重力波観測においては、低周波帯での観測が重要である。例えば、ブラックホール連星の合体前後に発生する重力波の低周波帯での精密な観測は、強重力場における一般相対性理論の強力な検証手段である。しかし、地上の重力波検出器においては、鏡は懸架されており、10Hz以下の低周波帯では地面振動や懸架に伴う熱雑音のため、高感度を達成することは極めて難しい。そこで我々は、干渉計の鏡を周期的に自由落下させ、地面振動雑音と懸架の熱雑音を取り除き、1~10Hzの低周波帯において感度を飛躍的に高める手法を開発を開始した。 前年度は、理論・実験の両面から周期的無重力干渉計型重力波検出器の検討を行った。まず理論面においては、周期的無重力干渉計の到達可能感度とそれによって可能となるサイエンスの評価を行った。その結果、第3世代重力波検出器であるETに周期的無重力鏡を組み込むことで、1Hzにおいて感度を2ケタ半改善でき、重力波のストレイン感度に対して3x10^-22 [Hz^-1/2]が達成できることが分かった。そして、この感度が実現できると10^4-10^5の太陽質量を持つブラックホール連星の準固有振動状態からの重力波検出がS/N=200で実現できるなど、サイエンスにおいて大きな進展が期待できることが分かった。 実験面においては、マイケルソンレーザー干渉計において、2つのポートからの通常信号と復調信号を使って適切なデータプロセスを行うことにより、光路長制御をしない形で、ほぼ理想的な量子雑音レベルが達成できる新しい手法を開発した。 装置の開発においては、リニアステージを購入し、鏡投げ上げシステムの開発を行った。特に、鏡が自由落下して、受け止めシステムに着地した後、鏡の角度を計測しばらつきを抑えるようなシステムの開発に成功した。またレーザー光の入射システムに関する部品を購入しそのテストを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1年目において、理論的な検討が予想以上に大きく進み論文の投稿に至った。また、装置開発においても、すでに各種の実験装置の開発が順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、リニアモータの上下運動について予定通りの精度で制御できることを確認する。また、投げ上げ真空容器とマイケルソン干渉計を製作し、周期的自由落下運動が実現できることと、鏡の回転による干渉計フリンジの変化が許容範囲以下に収まっていることを確認する。そして、周期的無重力干渉計を試験的に動作させ、データを取り、重力波信号に対するデータ解析を行う。 これらの結果をまとめ論文として投稿予定である。
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Causes of Carryover |
リニアモータが高価であり、その分ある程度のマージンを入れて前倒し請求をしたが、実際の使用額は予想より若干少なかったため次年度使用額が生じた。 今年度分の助成金と合わせて装置開発に使用する予定である。
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