2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of a sea surface breaking wave observation system using industrial millimeter wave radar and optical particle size counter
Project/Area Number |
21K18652
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
相木 秀則 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 准教授 (60358752)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 文義 海上保安大学校(国際海洋政策研究センター), 国際海洋政策研究センター, 准教授 (40467725)
民田 晴也 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 主任技師 (80422765)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
Keywords | 白波砕波 / シースプレー |
Outline of Annual Research Achievements |
自動車部品用のミリ波レーダー電子回路ボードを用いて海上の白波砕波の時空間構造を測定するシステムを開発する作業を進めた。本研究で使用しているミリ波レーダー電子回路ボードに搭載されている集積回路には、電波の送受信回路からアナログ-デジタル変換、信号処理用のマイコンまで、イメージングに必要な構成要素がワンチップ上に収められている。まずTexas Instruments社製と国内メーカー製のレーダー評価ボードの1つずつを入手し、室内で稼働試験をしながらどのような変数を取り出すにはどのような追加モジュールが必要なのかを調査した。いずれのボードも無線法規における特定小電力無線に該当する。特に国内メーカー製のボードは屋外で使用する際に必要な技術基準適合試験に合格していたので、これを用いてミリ波レーダーの稼働試験を継続し、まず海面波浪観測の基本例としてビーム方向のドップラー速度の計測や降水など天候の影響を確認した。一方で、飛沫粒子の粒径分布と風速乱流の時間変動も重要な情報であることから代表者らが開発した海上観測用の光散乱式粒径別計数装置(波しぶき計)を併用できるように機材のレーザー光源や電子回路の修正を進めた。これらと並行して、洋上ブイによる長期間の観測データを統計的に処理して、台風や爆弾低気圧などのイベント時の大気海洋境界層の特性を抽出する方法を提案した論文(Kameyama et al. 2022)を出版した。この手法を、今後、レーダーやしぶき計データの解析に適用することを検討している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来の研究では主に海上風速に依存するバルク式を用いて大気海洋間フラックスを巨視的かつ経験的に定式化してきた。並行して白波砕波とそれに連動する大気海洋境界層の微物理過程のメカニズムを解明するために、従来の観測研究では主に空間構造の把握には可視光CCDカメラ、時間構造の把握には圧力型水位計と超音波風速計を使用してきた。ところがCCDカメラの画像は霧や太陽光の加減に影響されやすく荒天時や昼夜連続した観測に不向きであった。この欠点を克服するために本研究では自動車部品用のミリ波レーダー電子回路ボードを用いて海上の白波砕波の時空間構造を測定するシステムを開発することを目的とする。これは代表者らが知る限り大気海洋分野において世界初の試みの1つである。
|
Strategy for Future Research Activity |
ミリ波レーダーは、波長が短いので数cm四方の小型なアンテナで送受信でき、さらに周波数帯域が広いので、感度の高いアンテナを作ることができる。中でも電子的に電波の発射方向を切り替えられるフェーズド・アレイ方式のアンテナは、ターゲットの距離やドップラー速度だけでなく、2次元/3次元の形状も計測することができる。ミリ波レーダーの解像度はビーム方向には数mmでフェーズド・アレイによる走査方向には数cmであるため1つ1つの白波砕波やシースプレー帯の動態を捉えるためには最適である。これを応用して、海上の約200m四方の範囲内で白波砕波の被覆率と個々の持続秒数を昼夜通して測定することがきる機器を世界で初めて開発することを目指す。ビーム方向とフェーズド・アレイによる走査方向の反射率データから、白波砕波の水平2次元イメージを取得し、0.1秒毎に統計量(被覆率、空間スペクトル、個々の持続秒数)に変換するプログラムを作成する。ミリ波レーダー、光散乱式粒径別計数装置、超音波風速計のデータを統合し、風速、有義波高、波齢に依存した白波被覆率、持続秒数、海塩粒子放出率をスペクトル空間で統計的にまとめる。
|
Causes of Carryover |
ミリ波レーダー評価ボードとPCを組み合わせて、数週間の観測ができるシステムの開発を進めているが、機種選定に時間がかかったため、次年度に購入する。
|
Research Products
(4 results)