2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of a sea surface breaking wave observation system using industrial millimeter wave radar and optical particle size counter
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21K18652
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
相木 秀則 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 教授 (60358752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 文義 海上保安大学校(海上保安国際研究センター), 海上保安国際研究センター, 准教授 (40467725)
民田 晴也 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 主任技師 (80422765)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Keywords | 白波砕波 / シースプレー |
Outline of Annual Research Achievements |
波しぶき計(光学式粒子数計)による海塩粒子の粒径分布の時系列測定については、2021年11月から2022年3月までの南極観測航海における5ヶ月の連続運用におけるデータを分析したり、センサーの環境耐用性能を評価した。このような観測航海の後のセンサー校正や部品交換について、これまで専門業者に外注していたが、研究機関内で作業の一部をできるように整備した。また日本列島全体を覆う気象予報データを用いて、強風の発生頻度と吹送距離から沿岸における波しぶきの観測地点の候補を比較する研究を行った。 国際誌への論文投稿内容として、茨城県波崎の桟橋において幾度と強風を伴う海面破砕や白波の発生といった海塩粒子の放出が見込まれる状況下で1週間の観測を実施した結果をまとめた。この観測から波しぶき計で測った粒子数濃度の変動が,ほかの物理量の変動と相似性を示す結果が得られた。これを指標として海塩フラックスを渦相関法から評価する際の精確性を考察していく必要性があることを論じた。また、粒子数濃度の変動が、ほかの物理量間では変動が生じているにもかかわらず、生じない、また相似性がみられないといったデータもみられ、さらに,この観測において、吸引量の異なる2台の波しぶき計による並行観測を行い、粒径別にみると粒子数濃度の絶対値また変動値の違いもみられ、これらの要因と海塩粒子放出量の誤差評価を論じた。別の論文投稿内容として、北海道沖で行った航空機と船舶の同時観測の結果をまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
南極航海(2024年9月から2025年2月)観測に間に合うように、機材調整を進めた。本研究で使用している波しぶき計は別プロジェクトにおいて2016年から開発を続けてきたものであり、現在に至っては部品調達に関する社会情勢が大きく変化した。センサーの校正や測器の新規製作・修理を継続できるようにするために、学術と産業の両面において情報収集を行い、南極航海観測の方針を得た。総説論文「海洋学の10年展望2021:大気海洋境界」を機に、物理分野と化学分野の共同観測の機会が得られるようになり、船舶や島嶼など測器の設置場所に応じた観測基盤の整備や気象イベントの狙いが明確になり、測器開発の諸元が具体的になった。また大気海洋境界に関する、観測分野と数値シミュレーション分野の研究者の協力による相互検証の基盤も整備した。数値シミュレーションについては従来の大気海洋連続LESモデルに波浪境界層に関するエネルギースペクトルモデルを結合することで相互比較を特徴付ける。ミリ波レーダーについては工学と環境学の学際分野の教育目的としての活用を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
国際学術誌に投稿中の2つの論文の受理を目指すと同時に、南極航海(2024年9月から2025年2月)観測の準備を進め、観測後は速やかに測器の環境耐用性能を再確認する。海塩粒子の生成に関連して、従来の研究では主に海上風速に依存するバルク式を用いて大気海洋間フラックスを巨視的かつ経験的に定式化してきた。理論研究では、砕波のパラメータ化に観測と照らし合わせた経験値が必要であるという問題点があった。研究計画の延長線上における展開として、これまでの観測データの解析結果を新しい南極航海観測の結果で再確認し、信頼性のある測定データを取得し、白波砕波とそれに連動する微物理・化学過程のメカニズムを鉛直構造が最終的にわかるように進展させる。波しぶき計による現場観測では基本的に時系列しか得られず、ミリ波レーダーで水平分布を補う方針であったが、波浪境界層の素過程(波動力学・乱流混合・物質輸送・大気海洋間フラックス)の考察を発展させるには鉛直分布が必要である。このためにLES数値モデルで気側と水側の流体運動を連続的に再現し,砕波にともなう粒子の動きを解析する作業も進める。
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Causes of Carryover |
前年までに行った一連の観測では測定精度を確保するために2台の測器を1組にして運用してきた。合計4台の測器を校正しながら順番に使っていたが、観測頻度が増えたり、経年劣化が生じて、測器の校正や部品交換を重点化する必要が生じた。本研究で使用している波しぶき計は別プロジェクトにおいて2016年から開発を続けてきたものであり、現在に至っては社会情勢が大きく変化し部品調達や専門業者による修理が困難となった。センサーの校正や測器の新規製作・修理を継続できるようにするために、学術と産業の両面において情報収集を行い、(2024年9月から2025年2月)観測に間に合うように、機材調整を進めた。これらの事情により当初の3年計画を1年延長した。
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Research Products
(2 results)