2021 Fiscal Year Research-status Report
鉱物-マグマ間の2価鉄および3価鉄分配の決定とマントル酸化還元度進化モデルの構築
Project/Area Number |
21K18655
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
桑原 秀治 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 助教 (50505394)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 亮一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 主任研究員 (50726958)
門屋 辰太郎 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究プログラム), Young Research Fellow (60801347)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
Keywords | 鉄価数 / マントル酸化還元度 / マグマオーシャン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は地球上部マントルおよび下部マントルの酸化鉄の価数分布に制約を加えることを目的としている。本年度はマントル形成前段階の金属核形成期におけるマグマオーシャン中の酸化鉄の価数に関する実験的制約を行った。具体的には圧力16~28 GPaの条件において、金属鉄共存下における橄欖岩、玄武岩組成マグマの2価鉄の不均化反応を制約した。その結果、圧力20GPa付近において2価鉄の不均化反応が急激に起こり始め、28GPaでは最大約40mol%のFe3+が金属鉄共存下においても2価鉄の不均化反応によって生成することが明らかとなった。この値は地球上部マントルの値に比べ、一桁程度高く、金属鉄がマグマオーシャンから効率よく除去された場合、非常に酸化的なマグマオーシャンが形成されたことを示唆する。 また、マグマオーシャン固化過程における鉱物-マグマ間の2価鉄と3価鉄の分配を調べる前段階として、予備的な実験を行った。具体的には地球の主要材料物質と考えられているエンスタタイトコンドライトを基にしたマントル(Javoy et al., 2010)に関する融解相関係を下部マントル圧力条件(23~27GPa)において実験的に制約し、部分溶融温度条件およびリキダス相を明らかにした。その結果、当該圧力条件においてフェロペリクレースがリキダス相である橄欖岩に対し、エンスタタイトコンドライト的な物質から成るマグマオーシャンではブリッジマナイトがリキダス相となることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度ではマグマオーシャン固化過程の前段階におけるマグマの鉄価数を制約することができた。得られた実験結果はすでに論文にまとめ、国際学術誌に投稿準備中である。したがって、本研究課題は順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度ではマグマオーシャン固化過程における鉱物-マグマ間の2価、3価鉄分配に関する実験を行っていく予定である。すでに下部マントル圧力条件(23GPa)において、ブリッジマナイトとマグマが共存する試料は作成できているため、次年度は試料分析に集中する予定である。また、それと同時に実験結果を入れた簡単なマントル酸化還元度進化モデルの構築にも取り組む。
|
Causes of Carryover |
当初予定していた研究者間の打ち合わせに伴う出張が新型コロナウィルス感染状況の悪化に伴い、行うことができなかったため、旅費として計上していた額を使用することができなかった。次年度は大学からの出張制限が緩和される見込みのため、繰越金は旅費に使用する予定である。
|
Research Products
(16 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Experimental Studies on Phase Equilibria, Density and Sound Velocities of Martian Mantle Assemblages2021
Author(s)
Siersch, Nicki und Xu, Fang und Marceline, Anne-Elisabeth und Greaux, Steeve und Rivoldini, A. und Kuwahara, Hideharu und Kondo, Nozomi und Wehr, Nicolas und Menguy, N. und Kono, Yoshino und Higo, Yuji und Plesa, Ana-Catalina und Badro, James und Antonangeli, D.
Organizer
2021 AGU fall meeting
Int'l Joint Research / Invited
-
-
-
-
-
-