2021 Fiscal Year Research-status Report
Design of actuators consisting of tissue-like material by applying deformable skeletal structures
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21K18669
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
矢菅 浩規 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 特別研究員(PD) (10844582)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 微小液滴 / 脂質二分子膜 / マイクロ構造 / 液滴ネットワーク / 微細加工 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、動物が骨格と関節によりその運動を規定しているように、予め変形特性が設計された骨格を導入することにより、変形が自在に設計できる組織様材料を用いたアクチュエータの実現を目指す。ここでの組織様材料とは多数の液滴から成るネットワークであり、研究代表者がこれまでの研究で開発した構造介在型液滴ネットワーク(Structure-mediated droplet network)という、八面体状の柱をユニットとする格子構造中に微小液滴が生成・配置された構造を本研究に用いる。 2021年度は、多数のゲルビーズから成るネットワークの形成方法の確立のため、アルギン酸ナトリウムを用いた液滴のゲル化の実証とゲルビーズの接続方法の検討を行った。まず、アルギン酸ナトリウム水溶液を塩化カルシウム水溶液中に滴下し、液滴の生成とイオン架橋によるゲル化を同時に行うという方法で、液滴のゲル化を確認した。次に、以下のように複数のアルギン酸ナトリウムのゲルビーズの接続実験を行った。具体的には、①上記の方法で生成したアルギン酸ゲルビーズを純水に浸して洗浄を行う。②シリコーンオイル中にゲルビーズを接触させた状態で配置する。②ビーズ間に接続のためのアルギン酸ナトリウム水溶液を加えたあと、塩化カルシウム水溶液を加えゲル化により接続を行う。上記の方法を用いることで、アルギン酸ゲルビーズの接続に成功した。 また、2021年度は、格子構造中で生成可能な液滴の微小化にも取り組んだ。解像度が1 um以下である高精細3D光造形装置を用い、八面体状の柱で構成されるマイクロ構造を製作した。このマイクロ構造に水と油の界面を通過させて、5 um程度の液滴を生成することに成功した。この成果は、第12回マイクロ・ナノ工学シンポジウムで研究代表者が発表を行い、優秀講演論文表彰を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度の研究により、複数のゲルビーズから成る組織様材料の形成のためのゲルビーズの接続方法を確立し、次年度の刺激応答性ゲルを用いたデバイス開発の準備が整ったため。また、当初の計画とは異なる製作方法を検討した結果、生成可能液滴の微小化につながり、より設計自由度の高い形状の製作が可能になることが見込まれるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、既に開発した方法で刺激応答性ゲルを含むゲルビーズと含まないゲルビーズの接続を行い、温度などによる刺激で液滴間に相対的な体積変化を生じさせる機構を開発する。続いて、この機構を格子構造中に応用し、構造設計を検討し組織様材料を用いたアクチュエータ実証を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で、予定していた学会がオンラインになるなど支出が少なくなったため。また、これに対して、2021年度に計画を変更して支出するよりも、最終年度の物品費などに充てる方が研究の遂行に効果的であると判断したため。
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