2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of dot impact metal 3D printer by carbon nanotube composite metal particles
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21K18678
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
鈴木 庸久 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (90501479)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / 金属被覆粒子 / 金属3Dプリンタ / 通電焼結 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、金属3Dプリンタによる機能性部品の製造の要求が高まっている。しかし、広く利用されているパウダーベッド方式の金属3Dプリンタの場合、原理的に異種金属の積層ができず、機能性複合材料の造形ができないという課題がある。本研究では、カーボンナノチューブ複合めっき(Ni-CNT)被覆金属粒子を用い、Ni-CNT被膜が有する高温軟化特性及びランダム配向ナノ多結晶体である特性を利用して、比較的低温(400~600℃)でNi-CNT被覆金属粒子同士を結合する局所通電焼結法を確立し、ドットインパクトプリンタ方式と組み合わせることで、これまでにない金属3Dプリンタの開発を目指す。このNi-CNT被膜による粒子の界面結合技術が確立できれば、金属およびセラミックスの複合体の3D積層造形の可能性が広がる。 1)ドットニードルによるNi-CNT被覆金属粒子の局所通電焼結条件の検討: まず、焼結プロセスに用いる原材料となるNi-CNT被覆金属粒子について、バレル電気めっき法によるNi-CNT被覆金属粒子の作製条件を検討し、数ミクロンのNi-CNTを被覆した金属粒子の作製条件を明らかにした。さらに、その通電焼結を実施し、焼結条件(温度、圧力)の基礎データを収集した。 2)Ni-CNT界面接合挙動の解明: Ni-CNT粒子の通電焼結による焼結体の界面の観察および分析を行い、界面の接合挙動を考察した。比較的低温から、Ni-CNT/Ni-CNT界面では、Ni/Ni界面に比べて、特徴的な結晶構造を示した。さらに、Ni-CNT/Ni-CNT界面は、Ni/Ni界面に比べて、曲げ試験により、接合強度が高いことを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ni-CNT被覆金属粒子同士を結合する局所通電焼結法を確立し、ドットインパクトプリンタ方式と組み合わせた金属3Dプリンタの開発を目指し、以下の取り組みを行い、それぞれに概ね計画通りに推移しているため、上記評価区分とした。 1)ドットニードルによるNi-CNT被覆金属粒子の局所通電焼結条件の検討において、バレル電気めっき法によるNi-CNT被覆金属粒子の作製条件を検討し、数ミクロンのNi-CNTを被覆した金属粒子の作製条件を明らかにした。これは、当初の計画よりも進んでいる。さらに、その通電焼結を実施し、焼結条件(温度、圧力)の基礎データを収集した。局所的試験装置を設計したが、試作まで至っていないため、この点において、若干進捗が遅れいているといえる。 2)Ni-CNT界面接合挙動の解明: Ni-CNT粒子の通電焼結による焼結体の界面の観察および分析を行い、界面の結晶状態、接合強度の基本的データが収集できており、概ね計画どおりの進捗といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で提案する「ドットインパクト金属3Dプリンタ」は、Ni-CNT被覆金属粒子を、ドットニードルで基板に接触させ、通電することで、接点での抵抗加熱を促す。表面のNi-CNT被膜の高温軟化特性を用いて、比較的低温でかつ低加圧力で局所的に通電焼結を行うものである。さらに、ドットニードルを複数並べ、搬送と印刷を繰り返すことで、金属3D積層造形を実現する。パウダーベッド方式に比べて、粉体の切り替えができ複合材料の造形に向いていること、レーザや電子ビームのような高額なユニットが不要であるという利点がある。 本研究では、今後、以下の取り組みを行う。1)ドットニードルによるNi-CNT被覆金属粒子の局所通電焼結条件(Ni-CNTの被覆量、通電条件、粉体サイズなど)の検討を行う。 2)Ni-CNT界面接合挙動の解明のために、Ni-CNT接合界面のTEM観察や、材料特性の評価を行う。 3)ドットインパクト金属3Dプリンタを試作し、連続的に局所通電焼結が可能となる搬送条件、積層条件を検討する。 以上の検討により、ドットインパクト金属3Dプリンタの実現可能性を示す。
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Causes of Carryover |
当初予定していた装置が、世界情勢の影響で、納期が遅れることがわかったため、次年度に繰り越すこととしたため、装置購入費分、使用額が減額となった。
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