2021 Fiscal Year Research-status Report
Measurement of local ion concentrations using glass capillary electrodes
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21K18687
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
土井 謙太郎 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20378798)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | ガラスキャピラリー電極 / イオン輸送現象 / イオン濃度 / pH / イオンダイオード |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,任意のイオン種の濃度測定を可能とするガラスキャピラリー電極の作製と局所イオン濃度の評価手法の創出を目的とする.特徴的な電極構造を利用し,液中に存在するイオン濃度を測定する新奇なイオン電極の原理を提案したい.ガラスキャピラリーはひとつのナノ流路と考えることができることから,特有の界面動電現象を利用することにより,イオン種の識別可能性について検討する. 本研究では,(i)ガラスキャピラリー電極のイオンダイオード特性評価,(ii)イオン濃度およびpHの校正曲線の作成,(iii)個別イオン濃度場測定の課題に取り組む.ガラスキャピラリーの内液と外液に濃度差を与え,両液層間に非対称なイオン輸送を実現してダイオード特性を発現させる.特に,先端直径が100 nm程度のガラスキャピラリーの場合,内壁面が液中で負に帯電するため,キャピラリーに沿って電圧を印加すると,陽イオンの輸送が支配的となるイオン電流が生じることから,陽イオン選択性が現れる.本研究ではさらに,ガラスキャピラリーを2連管とし,充填する液の成分を調製することにより,対象とする陽イオンの濃度を測定する.この電極を用いて,試料液の電流電圧特性を調べると,キャピラリー先端のイオン選択性のために,例としてKClの充填されているキャピラリーではK+イオンの輸送が伝導性に大きく寄与し,K+イオンが外液に押し出される向きのほうが,外液から内側に引き込まれる向きに比べて優位であることが予想される.これは,キャピラリーの内液と外液の間でKClに濃度差があり,濃度の高い内液から低い外液へは拡散する力が働くが,逆に外液から内液への輸送は抵抗が大きくなるためである.キャピラリーを介したK+の濃度差が電気抵抗として測定されることから,それらの相関を調べることで外液のK+濃度を導出することが可能となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,研究期間に次の課題を達成することを目標としている:(i)ガラスキャピラリー電極のイオンダイオード特性評価,(ii)イオン濃度およびpH校正曲線の作成,(iii)個別イオン濃度場測定.ガラスキャピラリーの内液と外液に濃度差を与えることで,両液層間に非対称なイオン輸送を実現してダイオード特性を発現させる.さらに,キャピラリー内液を調製し,特定のイオン種に起因するダイオード特性を得ることにより,その濃度を解析することが可能となる.初年度は,ガラスキャピラリー電極の作製方法を確立し,内液を適切に調整することにより,試料の導電率を定量評価した結果,誤差5%未満の精度で測定可能であることを確かめた.これにより,ガラスキャピラリー電極が液中のイオン濃度を特定するために適切な構造であることが明らかとなった.さらに,ガラス管を2連管とし,両ガラス管の内液に差異を与えることでダイオード特性が現れることを確認した.以上の結果より,研究計画はおおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の課題:(i)ガラスキャピラリー電極のイオンダイオード特性評価,(ii)イオン濃度およびpHの校正曲線の作成,(iii)個別イオン濃度場測定について,次年度以降は,イオン電流の整流作用を顕在化させるためのガラスキャピラリー電極の作製手法を確立し,イオンダイオード特性の評価を確実なものとする.ガラス先端は数100 nm ~ 1 μm程度であるが,ガラス管の内液にアガロースゲル(寒天)を充填することにより,さらに微細な流路構造とすることが可能となる.これを用いて,ガラス先端のイオン選択性を向上させ,陽イオンと陰イオンの輸送差(整流比)を改善することについても検討する.ガラスキャピラリーのイオン選択性を確認するため,pH標準液を内液とし,外液との水素イオン(プロトン)の濃度差と整流比の相関について実験と理論の両面から考察する.内液と外液のプロトン濃度の差を与えることにより,pHについて校正曲線を作成してpHセンサーとする.さらには,その他陽イオンについても整流作用が確認できれば,プロトンの場合と同様に任意の陽イオンについて濃度測定が可能となることが期待される.
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Research Products
(6 results)