2021 Fiscal Year Research-status Report
Exploring the scientific principle of new micro engines using a thermal interface phenomenon
Project/Area Number |
21K18698
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
杉岡 秀行 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (20769822)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | マイクロエンジン / マイクロアクチュエータ / マイクロスイマー / 熱界面現象 / 沸騰 / 対流 / エネルギー変換 / 非対称熱伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
究極の小型化と簡素化が可能な低熱流束で動作する新しいマイクロエンジンの学理体系を構築するために、次のことが遂行できた。 (1) 熱界面型マイクロエンジンを用いた人工繊毛の基本性能の検討に関して:①②高速駆動を目指し、弾性梁を用いた弾性熱界面型マイクロエンジンの基本構造を新たに提案し、60Hz以上の高速駆動を実証し、環状流路に正味流れを発生できた。【J. Phys. Soc. Jpn. 91, 044402 (2022) 掲載】 (2) 回転運動などの基本性能の検証と設計論の確立に関して:①②1rad/s以上の軸型回転運動の実現性を検証し、スクリューなどと組み合わせて、通常の回転型エンジンのように正味流を発生できることを示した。【論文投稿中】 (3) ワイヤレス型マイクロスイマーへの展開に関して:①②磁場による誘導加熱を試みたが有意な結果が得られていない。 (4) さらなる低熱流束化技術の探求に関して:①核沸騰領域の新しいマイクロエンジンとして、ポンプを提案し、正味流れを確認した。【Japanese Journal of Applied Physics 60 108001 (2021)掲載】②対流現象を利用した新しいマイクロエンジンとして、(a)光スイマー、(b)光ポンプ、(c)熱ポンプを提案し、機能を確認できた。 【a:J. Appl. Phys. 130, 084702 (2021)掲載,b: Appl. Phys. Lett. 120, 123901 (2022)掲載,cJapanese Journal of Applied Physics (2022)http://iopscience.iop.org/article/10.35848/1347-4065/ac6784】 (5) 作成技術の高度化に関する探究に関して:炭素自己組織化ワイヤーのヒータへの応用を行った。【投稿中】
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
概要で記載したように、当該年度において、新しいマイクロエンジンの学理体系を構築するための研究群を推進し、その成果を5件の論文(APL誌1,JAP誌1,JJAP誌2,JPSJ誌1)として国際誌に掲載できている。しかしながら、新しいマイクロ熱エンジンの学理体系を構築するためには、その真の利点をさらに明確にするとともに、低熱流束、小型化、ワイヤレス化などの広範な課題に挑戦していく必要があると考えている。また、これまでの成果から、その本質的なキーワードとして、”対象性の破れ”に注目することが、ますます重要となっていると考えており、この観点での研究をさらに推進していく方針である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)(2)基本性能検討については、当初目標をほぼ達成しているが、今後は、a.進行波型、b.流体力学的相互作用、c.軸なし回転駆動等の追加検討を行い、さらなる充実を図る予定である。 (3)のワイヤレス型マイクロスイマーに関しては、磁場による誘導加熱で有意な結果が得られていない。そこで,他の手法(a.光駆動, b.電池駆動,c.ポーラス材料への蓄電駆動等)を検討中。また、省エネ化・小型化がキーとなるため、(4)(5)と連動して実現を目指す。 (4)の低熱流束化については、すでに3件の論文成果が出ているが、ワイヤレス化達成のためのキーであるとともに、熱界面型マイクロエンジンの学理体系の構造化に重要であるため、”非対称性”をキーワードに各技術の深化を図る予定。 (5)の作成技術の高度化については、炭素自己組織化ワイヤーの熱界面型マイクロエンジンへのさらなる応用展開を図る予定。
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Causes of Carryover |
(理由)1.コロナ感染症の蔓延により学会がWeb形式となったため、旅費等が節約できた。2. 960fpsの高速度カメラが比較的安価に入手できたため、当面これで実験を進めることができ、節約できた。 (使用計画)1.コロナの状況が改善に向かった時に、対面による研究成果の発表を積極的に行う予定である。2. 研究をさらに発展させるために、高性能のサーモグラフィ等の購入を検討していく予定である。
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Research Products
(16 results)