2021 Fiscal Year Research-status Report
生物と無生物界面を接続するウェットロボティクスの接続層の設計論と計測制御
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21K18700
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森島 圭祐 大阪大学, 工学研究科, 教授 (60359114)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 生命機械融合 / ウェットロボティクス / バイオアクチュエータ / マイクロロボット / 界面 / 昆虫サイボーグ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、機械システムと生物を一体化するための設計方針、生物と無生物界面に存在する計測と制御課題を示し、ウエットロボティクスの基盤設計指針を構築する。機械部品と生命体との間に「生物層-機械層(無生物層)接続用部品」を配置し、この部品の中で階層的に生物から機械(無生物)を接続していく。部品の中には、その機械接続側には無生物的な接続層、生体側には生物的な接続層を構成し、これらの接続層をさらに接続する、界面層の大きく三層構造を考える。生物と様々な材料、形の人工物を接続するための基盤技術の開発と物質輸送、情報伝達デバイスにつながる設計指針と材料の機能発現と創発を目指す。 今年度は、まず、nmからμm、μmからcmのスケールをつなぐ、生物的なものと無生物的な人工物とが不可分に融合したシステムの試作設計を行った。「無生物接続層」では、無生物サブシステムと電気的・機械的接続の機能を実現し、主には既存の設計技術を用いて援用することで、昆虫の運動動作を電気的に制御する実験をおこなった。また、細胞スケールにおいては、物質輸送の観点で、単一細胞を微小電極に接触させた状態で観察をおこない、高速熱応答マイクロプローブ法による細胞内部状態計測をおこなった。また、組織スケールにおいては、作製したiPS心筋組織の3次元スフェロイドマイクロ空間に培養し、電気的特性と力学的特性を計測するシステムとして、マイクロ空間における3次元iPS心筋組織の心毒性評価システムの開発をおこなった。さらに、微小生命体モデルとして、線虫を対象とし、線虫をマイクロ物質輸送ロボットとして活用し物質導入を目指したモデルを構築し、評価をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
生物と無生物界面を接続するウエットロボティクスのモデルとして、①昆虫であるマダガスカルゴキブリを用いたデバイスの試作、評価、②単一細胞の熱物性評価、③iPS心筋細胞による3次元スフェロイドの電気的、力学的特性評価デバイスの開発、④マイクロロボットとして活用する線虫モデルの開発を通して、機械システムと生物を一体化するための設計方針、生物と無生物界面に存在する計測と制御課題を示し、ウエットロボティクスの基盤設計指針をマルチスケールにわたって示すことができた。その成果をロボメカ2021、EMBC2021WS, ICRA2022WSで発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
生物と様々な材料、形の人工物を接続できれば、生物-無生物を融合したソフトロボットやウエアラブル、生体埋め込みデバイスの設計の知見が得られる。特に、材料の生体適合性、熱物性と生物のやわらかさ、恒常性維持に着目し、生物と無生物界面接続のための基盤技術の開発と物質輸送、情報伝達デバイスにつながる設計指針と材料の機能発現と創発を目指す。得られた研究成果を主要な国際会議や国際ワークショップで発表する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で、世界的な半導体不足による、デバイス試作に必要な電子部品、計測機器の購入の遅れと留学生入国制限により、物品購入費と人件費の使用計画に変更が生じたため、状況に応じて、研究を進める方針である。
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