2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of energy harvesting technique of thermally induced electromagnetic induction using first order magnetic phase transition
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21K18705
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
枦 修一郎 東北学院大学, 工学部, 教授 (90324285)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 環境発電 / 磁気相転移 / 熱誘起 / 電磁誘導 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究開始初年度の2021年度は、合金試料(バルク体)の1次相転移に伴う磁気特性評価のため、保有する振動試料型磁力計(VSM)に組み込み可能な温度特性測定用治具の仕様策定およびその導入後の動作確認を行った。また、この治具を使用して、本研究開始以前に作製し保有していた規則型結晶構造を有する合金薄膜試料の温度変化に対する磁化変化を改めて測定し、バルク試料が準備できた際の特性評価や発電デバイスに組み込む際の参考のため、その測定結果について検討を行った。その結果、薄膜作成後、約17年程度を経ているにも関わらず、急峻で良好な相転移特性を示すこと、また相転移前後で大きな磁化変化を示すことが確認できた。厚さ100μmのガラス基板上に約1μmの膜厚で成膜されており、相転移前後の薄膜の体積変化の際にガラス基板から大きな応力を受けるため、バルク体単体の場合に比べやや緩慢な温度特性となるが、仮にガラス基板から薄膜を引き剥がすことができれば、バルク体と同等の急峻な温度特性を示すことが予想される。これら新たな測定結果に加え、過去に測定した結晶構造解析の結果などを参考に、次年度に作製するバルク体に必要な特性および構造を得るための重要な知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で必須となる磁気相転移材である合金試料の作製にあたり、新型コロナ感染症の世界的な拡大の影響で、主要な貴金属元素の主要産出国での操業が滞っていることもあり、構成元素の一種の価格がかなり高騰している。よって、2021年度は実験に必要な量の半分程度の入手に留まっており、合金の作製を次年度に変更するなど、当初の予算計画や初年度の実験のスケジュールの見直しを余儀なくされたため。
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Strategy for Future Research Activity |
構成元素の必要量を早急に確保し、所望の原子濃度比の合金母材の作製を行う。実験用試料の数量確保のため、当初の予定よりも小型の試料サイズ(断面積が0.5平方mm、長さ十mm程度の板状)に切り出し、良好な1磁気相転移特性を示すよう高温長時間の熱処理を施しCsCl規則型結晶構造へ変化させる。熱処理前後における結晶構造の変化を確認するためX線回折装置で評価を行い、結晶構造の十分な規則化がなされているかを判断する。不十分な場合、再度熱処理を施す。十分な規則化がなされた試料については、初年度に導入した振動試料型磁力計の温度特性測定用オプションを用いて、温度変化に対する磁化量の変化を測定し、温度上昇時と下降時の1次磁気相転移温度およびその差である温度ヒステリシス、また変化の急峻性を評価する。 規則構造化した合金棒状試料について、強磁性相への相転移時に合金試料の磁化を飽和させるのに必要十分なバイアス磁界強度については、過去に作製し保有していた薄膜試料の相転移特性を改めて測定した結果から形状の効果を考慮して事前に見積もっておくことで、所望の磁界強度が印加可能なバイアス用永久磁石の材質や構造について検討する。 合金試料に施す巻線の仕様など、発電デバイスとしての最適な構造について検討しするとともに、効率よく加熱または冷却ができるような補助機構について検討する。1本の棒状試料から成る発電デバイス単体における加熱及び冷却時の発電性能を評価し、発電デバイス構造最適化の検討を行う。またバイアス磁界を低減(磁石の小型化)可能な閉磁路構造や発生電力を向上させる構造の最適化、また複数個を組み合わせたデバイスのアレイ化について検討する。
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Causes of Carryover |
主要構成元素の価格高騰のため、実験および予算計画を見直した結果、生じた次年度使用であるが、2021年度予算のわずか4%程度であり2022年度の主要構成元素購入に充てる予定である。
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