2021 Fiscal Year Research-status Report
グラフェン界面における分子の結合開裂・形成反応活性化を基軸とした分子検出
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21K18714
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
生田 昂 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80805929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正井 宏 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (70793149)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | グラフェン / 微量検出 / 化学反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、グラフェンが持つ微量検出能力を革新的に向上させるため、化学反応を電気や光といった外場によって制御することで、従来困難とされてきたppt以下の濃度領域において高い制御性を有した検出手法の確立を行う。これにより、化学反応に基づく共有結合の開裂・形成過程に着目した分子検出技術の確立を目指す。 当該年度では、ラジカル分子との結合交換反応を利用したラジカル検出を行った。ラジカル分子としては、ラジカル性分子であり酸性ガスでもある二酸化窒素の検出を目指した。化学反応を利用するにあたり、まずグラフェン上に金属ポルフィリンを修飾し、その後、ppbレベルの微量の二酸化窒素を導入した。その結果、グラフェンデバイスにおける伝達特性の明瞭なシフトが観察された。また、ノイズスペクトラム測定の結果から、金属ポルフィリン中の電子状態変化に対応する変化を得た。これは、分子骨格がポルフィリンよりもロバストな金属フタロシアニンを修飾した場合では観察されなかったため、ポルフィリン骨格に対し分子の結合交代が生じていると考えられる。以上の結果より、ppbレベルという低濃度領域での二酸化窒素の検出に成功し、分子内における結合の変化によるものと考えられるシグナルを得ることに成功した。 このことから、目標としていた結合開裂に注目した分子検出技術確立の目標の一つである、ラジカル分子による結合交代を利用した分子検出を実現することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究業績に記載の通り、本研究の目的としていたグラフェンデバイスを用いた分子の微量検出並びに、特定分にのみ起きる現象の観察にも成功しており、研究の進捗状況は順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当該年度で得られている成果をさらに発展させるべく、光や電子といった外場を制御することにより化学反応を制御した、制御性の高い分子検出技術の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
年度内に予定をしていた物品購入や学会参加がコロナウイルスまん延のため延期やオンライン開催になったため次年度への繰越金が発生した。 来年度は、既に得られた成果の発表や延期になっていた物品購入を行う予定である。
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