2021 Fiscal Year Research-status Report
吸水ポリマ溶発を利用するエアロゾル粒子混合による直流アークの高速遮断技術の開発
Project/Area Number |
21K18717
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田中 康規 金沢大学, 電子情報通信学系, 教授 (90303263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石島 達夫 金沢大学, 電子情報通信学系, 教授 (00324450)
中野 裕介 金沢大学, 電子情報通信学系, 助教 (60840668)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 遮断器 / 直流 / アーク / ポリマー |
Outline of Annual Research Achievements |
1.熱プラズマ照射用ポリアクリル酸(PAA)系ポリマーバルクサンプルの作成:ポリマーサンプルに熱プラズマを照射することによる溶発現象・スポレーション現象の発現を明らかにするために,ポリマーバルクサンプルを作成した。ここでは6ナイロン(PA6)とポリアクリル酸(PAA)系ポリマーを対象とした。ナイロンPA6はこれまでに熱プラズマ照射により溶発が生じることがわかっており,かつその吸水量が多い場合に,スポレーション粒子と呼ばれるマイクロ粒子が噴出することを見出しているためである。今回,非常に多い吸水ができるポリアクリル酸を対象とし,吸水量を変更しながらPAAのポリマーサンプルを作成する。またPAA+PA6のサンプル作成も試みた。 2.無吸水ポリアクリル酸(PAA)系バルクへの熱プラズマ照射によるポリマ蒸気噴出とスポレーション粒子発現の確認: 申請者の過去実験において高周波熱プラズマ(アークも熱プラズマの一種)をある特定のポリマバルクに照射すると溶発するとともにスポレーション(破砕)現象により,ポリママイクロ粒子が噴出することを発見している。まず吸水させないPAAポリマへ熱プラズマを照射することでポリマ溶発量が生じるのか,スポレーション粒子が生じるかを高速度カメラにより確認した。この際に,どの程度の熱流束でどの程度のポリマ溶発量が生じるのか,スポレーション粒子が生じるかを高速度カメラにより確認した。 3.熱プラズマ照射時のポリマー溶発の数値解析モデルの試作:ポリマーに熱プラズマを照射するとポリマー表面が加熱され溶融し,溶発する現象を検討できる数値解析モデルの構築に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポリアクリル酸(PAA)系ポリマーバルクサンプルの作成もほぼ計画通りに進められている。このポリマーサンプルを無吸水の状態で熱プラズマ照射する実験も行い,高速度カメラ撮影を行え,撮影できた。また,ナイロンPAの場合の場合にはスポレーション粒子が発現することも確認することができた。さらにこのようなポリマーに照射される熱プラズマの電磁熱流体解析モデルの構築に着手し,その初期段階の結果も得られている。以上からおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
吸水率を変化させた場合のポリアクリル酸(PAA)ポリマバルクへの熱プラズマ照射によるポリマ溶発蒸気とスポレーションマイクロ粒子発生頻度の測定実験などを推し進める。ポリアクリル酸系バルクには,ポリマより多い大量のH2Oを吸収することができゲル状になること,アブレーションできることを予備基礎実験から見出している。このPAAの吸水量を制御し変更し,その特性ポリマに熱プラズマを照射し,PAA+H2Oの溶発量とスポレーション現象の発生頻度,噴出粒子の大きさ・スピード,粒子密度を高速度カメラで観測する。吸水したポリマの表面はフーリエ変換分光光度計FT-IRで分析しH2O分子の吸着を確認する。ポリマ溶発蒸気の存在はC2分子スペクトル用干渉フィルタ(波長460nm)を用いた高速度カメラで観測する。H2Oの溶発量は質量分析と,H,O酸素原子スペクトルを観測する。照射後のポリマ表面もFT-IR,XRD,SEMで分析し,ポリマのダメージと結合の様子を検討する。(吸水率→溶発蒸気量,粒子発生頻度への影響)さらに熱プラズマ照射時のポリマー溶発の数値解析モデルを確立し,ポリマーに熱プラズマを照射するとポリマー表面が加熱され溶融し,溶発する現象を検討し,溶発によるプラズマの減衰効果を考慮できる数値解析モデルを構築する。
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