2021 Fiscal Year Research-status Report
半導体スピン素子における低抵抗バンドマッチスピン注入技術の創出
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21K18719
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山田 道洋 大阪大学, 基礎工学研究科, 特任助教(常勤) (50778529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 周太 関西大学, システム理工学部, 准教授 (00402553)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | スピン注入 / 半導体スピントロニクス / ゲルマニウム / ホイスラー合金 / 磁気抵抗比 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,全ての半導体スピントロニクス技術の核となる半導体へのスピン注入技術に関して,これまでの絶縁障壁層を利用した強磁性金属/絶縁体/半導体といった従来の電極構造の概念を覆し,強磁性合金/金属原子層/半導体の直接接合を用いた革新的電極構造を用いて,高効率かつ低抵抗なスピン注入の実現を目指す.本年度では,はじめに金属原子層材料の探索と設計指針について明らかにし,さらに金属原子層挿入により磁気抵抗比の温度依存性が改善することを明らかにした. 強磁性合金としては,高スピン偏極材料であるCo2FeAl0.5Si0.5を,半導体としてはGeを選択し,金属原子層挿入の効果について検討を行った.これまでにCo2FeAl0.5Si0.5とGeの間にFe原子層を挿入した場合にスピン注入効率が増大することが明らかになっており,本年度は金属原子層材料として非磁性金属(Cu, Cr, V)や強磁性金属(Co)などを検討した.非磁性金属のみを挿入した場合には磁気特性が劣化するなどの問題が生じたが,Fe原子層と組み合わせることでエピタキシャル成長を実現し,磁気特性もGe上に作製した場合と同等の特性が得られた.これらの電極構造を用いてスピン信号強度を比較するとCr,Vで1/10以下に局所スピン信号が減衰してしまうことがわかった.その一方で,Coを挿入した電極構造ではFeと同等程度のスピン信号が得られた.それぞれの試料に対して応用上重要な2端子磁気抵抗比の温度依存性を測定したところ,Fe原子層を挿入した場合には,挿入しない場合に比較して温度依存性が改善されていることが明らかになった. 以上のことから,高効率なスピン注入に向けて,金属原子層は強磁性体が有効であり,さらに界面磁性を金属原子層で制御することによって磁気抵抗比の温度依存性の改善による室温磁気抵抗比の増大も可能であることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エピタキシャル成長可能な金属原子層の検討から界面における磁気特性の重要性を明らかにし,今後の高効率スピン注入の設計指針を明らかにした.さらに,金属原子層挿入によって,磁気抵抗比の温度依存性が改善されることを明らかにし,理論モデルとの比較から界面の磁性,急峻さが室温磁気抵抗比の増大に重要であることを明らかにした.したがって,概ね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに,金属原子層として強磁性体が重要であること,温度依存性の改善にも界面磁性ならびに界面の急峻さが重要であることを明らかにした.これらの知見をもとに強磁性体を金属原子層に用いて今後はさらなる温度依存性に対しての検討やスピンデバイス作製時に必須の熱処理工程における熱耐性の評価などを進めていく.
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Causes of Carryover |
本年度は,金属原子層の材料探索を行ったため,試料作製を中心に進めてきた.そのため測定器購入用に計上していた費用を減額した.また,次年度は,磁気抵抗比の評価が本格化するため,測定系を増強するために費用を使用する.
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Research Products
(4 results)