2021 Fiscal Year Research-status Report
High-resolution scattering imaging using backscattering matrix
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21K18724
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
的場 修 神戸大学, 先端融合研究環, 教授 (20282593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
全 香玉 神戸大学, システム情報学研究科, 助教 (40814778)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 散乱イメージング / 後方散乱行列 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は散乱体における後方散乱行列を求めるために,2つの研究を実施した。はじめに,2光子励起を用いた非負値行列因子分解と相関を用いた散乱イメージングである。従来の1光子照明の場合には,ランダム強度パターンを対象物体に複数枚照射し,散乱画像を得る。散乱画像は独立した蛍光物体とそれに付属する点像分布関数のたたみ込みを全ての独立した蛍光物体からの散乱光強度を足し合わせたものになる。複数枚の散乱画像から独立した蛍光物体からの散乱光分布を分解するのに非負値行列因子分解を用いる。その後の処理は,メモリ効果を仮定し,散乱光の点像分布関数の相互相関を計算することで蛍光物体の位置を特定できる。また,位相回復を用いると元の画像を回復できる。フェムト秒レーザー光を用いて2次元のランダムパターンを形成し,蛍光ビーズに照射し,散乱パターンを得た。再構成結果は得られたものの,元の蛍光ビーズ画像と比較して結果は不十分であることから,照射パターンの改良等が必要である。次に散乱蛍光信号の位相情報を抽出する方法をシミュレーションで検証した。強度輸送方程式を用いることで散乱体からの蛍光画像を奥行き方向に3枚観察し,それを元に位相情報を抽出した。散乱光は伝搬方向に大きく強度パターンが変化するため,位相情報取得のための画像取得間隔などをパラメータとして検証した。散乱光の位相が正しく計測されたことを確認するために,逆位相を持たせた位相共役波により微小光源への集光特性が向上し,蛍光強度が大きくなることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画では,散乱体内部にある蛍光情報の高解像度イメージングを実現するために、後方散乱行列を求める方法を提案することである。散乱体内部の蛍光情報の取得には,蛍光ディジタルホログラフィーまたは強度輸送方程式を用いるとしており,シミュレーションで強度輸送方程式による位相分布計測が可能であることを実証した。また,位相情報を用いて照射パターンを制御することで蛍光強度が大きくなることも確認した。これらの結果は次年度での実験につながる重要な結果を得た。また,後方散乱行列推定では,ランダム照射パターンによる2光子励起を用いて蛍光散乱光を得ることに成功した。しかしながら,蛍光ビーズを用いた実験では元の蛍光ビーズ画像通りに再構成がされておらず更なる改良が必要であることがわかった。以上の結果から,研究計画通りに実施できており,「おおむね順調である」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
蛍光散乱光の増強に向けて,シミュレーションで検証した強度輸送方程式による位相分布計測を実験で実証する。さらに,抽出した位相情報を用いて照射パターンを制御することで蛍光強度が大きくなることを確認する。その上で,後方散乱行列による高分解能イメージングシステムに導入する。後方散乱行列による高分解能イメージングシステムでは2光子励起パターンを設計し,再構成精度の向上を図る。散乱体の対象としては複数層から構成される蛍光ビーズ及び生きた動植物細胞を用いる。これらの実験結果をもとに成果を学術論文や学会発表として公表する。
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Research Products
(4 results)