2022 Fiscal Year Research-status Report
Detection of ultrafast 2-D complex signals
Project/Area Number |
21K18725
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
伊藤 文彦 島根大学, 学術研究院理工学系, 教授 (40593596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 超 島根大学, 学術研究院理工学系, 助教 (20881668)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 2次元光信号 / 画像 / 超高速測定 / 線形サンプリング法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、線形サンプリング法をベースに、2次元の分布を持つ複素振幅の超高速測定の実現に向けた検討を行なっている。低速で安価なエレクトロニクスのみを用いて、サブピコ秒の時間分解能を持つマルチモード複素振幅測定を実現する。このような「超高速複素振幅カメラ」は、従来の技術ではまったく不可能であり、光ファイバ空間多重通信の信号の測定を含め、様々な科学・工学技術に大きなインパクトをもたらすと考えられる。 今期は、超高速・複素振幅空間分布測定器の心臓部となる新規の干渉装置を試作し、その動作確認に初めて成功した。サンプリングパルス光源として、1 MHzの周期で発振するパルス幅約1ピコ秒のモードロックレーザを用い、マルチモード光ファイバを伝搬するパルスをピコ秒オーダーの時間分解能で測定できることを実証した。加えて、直交する空間伝搬モードを正しく分離できることも確認した。これらにより、本研究の基本的なコンセプトを実証することができた。 この原理を応用し、複数の伝搬モードを有する光ファイバのピコ秒オーダーの時間分解能での群遅延時間差測定を実現した。特に、同じLPモードグループ内での固有モードの伝搬時間差に起因する空間モード分散を検出できたことは、本研究ならではの成果である。 光信号の複素電界振幅の超高速測定は、基礎科学から工学応用にわたる幅広い分野に関わる根幹技術である。しかし、超高速に変動する光の複素振幅を、空間的な分布を含めて測定可能な技術は、筆者の知る限り皆無であり、計画通りの成果が得られればそのインパクトは非常に大きいと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今期までに、超高速・複素振幅空間分布測定器の心臓部となる新規の干渉装置を試作し、その動作確認に成功している。これにより、本研究の基本的なコンセプトを実証することができたことに加え、これを応用し、複数の伝搬モードを有する光ファイバのピコ秒オーダーの時間分解能での群遅延時間差測定を実現している。計画で提示した基本原理の実証とその応用を示すことができたことから、研究はおおむね順調に進捗していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の展開として、本測定手法をマルチモードファイバにおける非線形パルス伝搬の観測に応用する予定である。これにより、本手法の応用分野を広く開拓することが期待できる。さらに、マルチモード光伝送路のモード異存損失の測定や、モード間群遅延時間差の測定に適用できる。評価対象となる光デバイスとしては、マルチモード光ファイバの他にも、マルチコア光ファイバやVCSELなどの2次元発光デバイスの評価にも適用可能と考えられる。 画素数の増大(現在は4画素)と、さらなる時間分解能の向上(現状はピコ秒オーダ)は大きな課題である。これについては、別途研究計画を起案し、取り組んでゆく。最終的には、100~1000画素、フェムト秒分解能を持つ2次元複素振幅カメラの実現を目指す。 光信号の複素電界振幅”画像”の超高速測定は、基礎科学から工学応用にわたる幅広い分野に関わる根幹技術であり、超高速に変動する光の複素振幅を、空間的な分布を含めて測定可能な技術は、筆者の知る限り皆無であり、今後の進展により多方面に大きなインパクトをもたらすことが期待できる。
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Causes of Carryover |
今期までに、研究計画で示した新しい測定原理の確認をすることができた。計画当初は、光ファイバのモード依存損失の測定などの応用の提示まで行う予定であったが、装置設計とその動作確認に時間がかかり、次年度に再実施することとしたい。
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