2021 Fiscal Year Research-status Report
Mechanisms of accelerated flow of sediment by rollers of air bubbles in soil
Project/Area Number |
21K18741
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
海野 寿康 宇都宮大学, 地域デザイン科学部, 准教授 (50570412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加村 晃良 東北大学, 工学研究科, 助教 (80761387)
菊本 統 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (90508342)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 不飽和土 / 流動化処理 / 液状化 / 間隙空気 / 間隙水 / ベアリング効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,地震や豪雨災害時の長距離土砂が流動するメカニズムについて,流動化処理土や高流動コンクリートで考慮されている供試体中の気泡(間隙空気)のベアリング効果を検討するため不飽和土中の間隙水,間隙空気の挙動に着目した研究を行う. 不飽和土中の間隙空気(気泡)の挙動について,要素せん断試験を用いてせん断強度への効果を観察し,従来,毛管張力の効果によりせん断抵抗が増加するとされてきた間隙空気が,一方で,コンクリート工学分野においてベアリング効果と呼ばれ流動性を増す,即ち,せん断抵抗を低下させる効果を発揮するという事実に基づき,土中内でもその効果を発揮するか調べる。さらにその挙動が観察できた場合,理論的に説明するため数値実験や数値シミュレーションによる再現を試みる. 2021年度は,研究初年度として従来から申請者が実施していた不飽和土の静的せん断,繰返しせん断挙動の観察を行うための不飽和静的/繰返しせん断試験を宇都宮大学にて実施するとともに,比較として流動化処理土のフロー試験や強度試験を行った. 土中の間隙水,間隙空気の状態を変化させた供試体作製方法の検討を行い,それら供試体を用いて要素試験を行い,それを観察した.いくつかの要素試験の結果,同一飽和度であっても間隙空気や間隙水の状態によって強度が大きく異なる結果が得られた.また,繰返しせん断によって間隙水圧,間隙空気圧が等しい値に至り,そのまま全応力まで上昇する(すなわち有効応力がゼロに至る)挙動についての数値モデルによる再現を試みた. 得られた実験結果や知見をもとに,2022年度も引き続き,3次元個別要素法による数値実験(東北大学)や不飽和土の構成モデル(横浜国大学)の改良を試みる.なお,不飽和土の繰返しせん断試験への解析検討や各試験結果は,2022年度に所属学会の研究発表会やシンポジウム等で発表予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は研究初年度ということで,不飽和土中の間隙空気および間隙水の挙動を把握するための計測装置を既存のせん断試験装置へ追加した.この装置を用いて,不飽和のせん断試験を実施し,不飽和状態の土でも繰返しせん断によって液状化すること,同一密度,同一飽和度であっても,薬剤添加により土中の間隙空気(気泡)の状態を変えると繰返しせん断変形挙動が変わることを実験で観察した. ただし,コロナ禍の為に計測装置のパーツや治具の入手に必要以上に時間を有した,あるいは入手できず代用品を用いた為,実験実施が後半にずれ込み実験による挙動把握が遅れている状況である.このため2022年度も引き続き実験を行うが試験条件などを見直し,効率的な実験実施を行う予定である. 一部実施した実験の成果は,所属学会(土木学会,地盤工学会)論文集への投稿を予定している. 各種実験より得られたデータを基に数値実験による挙動再現や数値解析モデルの構築・改良を行う(宇都宮大学,東北大,横浜国大).2021年度は間隙空気の挙動再現に向けて,従来の数値モデルの内容を再度見直すことを行った.2022年度は,21年度の検討結果を受けて数値モデルの検討をさらに進める.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は2021年度に実施した異なる初期条件の供試体への要素試験結果を踏まえ,要素せん断試験を継続して行う.前年度の知見を踏まえ,薬剤添加試験の他,密度や含水比の他,土の種類を変化させいくつか実験を行う予定である.特に単一粒径で従来,不飽和化すると著しく液状化抵抗が増加するとされる砂質土に対して検討を行うことで間隙空気のせん断抵抗の影響を調べる. また,数値実験ならびに数値モデルの開発は,2021年度,2022年度の要素試験で観察された土中の間隙空気の挙動を再現できるよう検討を進める. 要素試験は不飽和繰返し三軸試験装置に加え,保水性試験および不飽和中空ねじり試験装置の実施を試みる.数値モデルについては,間隙空気と間隙水の挙動再現を中心に検討する.
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