2021 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of monitoring scheme of antimicrobial resistance pollution in water environment by using integron as a marker gene
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21K18742
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
春日 郁朗 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (20431794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹村 太地郎 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (60572899)
鈴木 仁人 国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, 主任研究官 (70444073)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | インテグロン / 薬剤耐性遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
関東地方の24の河川及び下水処理場の流入水・流出水から抽出したDNAを用いて、クラス1インテグロンのインテグラーゼ(intI1)遺伝子を含む複数の薬剤耐性遺伝子や可動遺伝因子を標的としたハイスループット定量PCRを実施した。その結果、intI1遺伝子はこれらの試料のすべてから検出され、水環境に広く分布していることが確認された。intI1遺伝子と他の遺伝子との関係を評価したところ、intI1遺伝子のコピー数と有意な正の相関を示す薬剤耐性遺伝子や可動遺伝因子を抽出することができ、intI1遺伝子を薬剤耐性遺伝子のモニタリング指標とすることの有用性を確認することができた。また、クラス1インテグロンの遺伝子カセットを増幅した結果、様々な長さの遺伝子カセットが検出された。遺伝子カセット全長の塩基配列をNanoporeによるロングリードシーケンシングにより解析したところ、これらの遺伝子カセットには1個から3個の薬剤耐性遺伝子(主にアミノグリコシドやベータラクタム耐性をコード)が含まれていた。Nanoporeによる解析精度が薬剤耐性遺伝子のバリアント同定にどのような影響を与えているのか、詳細な考察が必要である。また、ベトナムについては、新型コロナウイルスの影響で渡越ができなかったため、2020年度にベトナム北部の都市河川や水環境から採水した試料から抽出したDNAを用いて、intI1遺伝子の定量とクラス1インテグロンの遺伝子カセットの増幅を行う段階まで実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症によりベトナムへの渡航はできなかったが、2020年度にベトナムで採水したDNA試料を用いることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ベトナムの水環境試料から調製したクラス1インテグロンの遺伝子カセットの解析を行う。前年度確立したNanoporeを用いたシーケンシングにより塩基配列を決定し、日本の水環境の結果との比較を行う。また、Nanoporeによる解析に加えて、より正確なロングリードシーケンシングを可能とするPacBioを用いた解析も適用し、シーケンシングの解析精度を比較する。日本の水環境試料についても調査を追加すると共に、下水、畜産排水、病院排水などインテグロンや薬剤耐性遺伝子の重要な起源となりうる試料を採取し、インテグロンの量と遺伝子カセット構造についての解析を進める。更に、臨床上、重要な病原細菌(ESKAPE)のインテグロン遺伝子カセット構造と水環境中のインテグロン遺伝子カセット構造との比較を実施する。 また、水環境中に残留する低濃度薬剤や他の環境条件により、水環境中のインテグロンの遺伝子カセット構造にどのような変化が起きるのか、実験室において水環境試料の培養実験を実施する。最終的には、日本とベトナムのintI1遺伝子の量と遺伝子カセット構造の情報を整理し、水環境の環境基準や流域のメタ情報とどのような関係にあるのか、水域ごとの汚染レベルの類型化を試みる。
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