2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of reliable wireless network technology for drone swarm activities in underground spaces where wireless communication is difficult
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21K18746
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
石原 進 静岡大学, 工学部, 教授 (10313925)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 下水管検査 / マルチホップ無線ネットワーク / UAV陣形制御 / 位置推定 / UWB / 音声位置推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
下水管内を飛行する複数のUAVで構成したマルチホップ無線ネットワークによるビデオデータ転送に関し、学内の実験管を用いた実験により、基礎的な性能を確認した。直径200mmの塩ビ製下水管内で2.4GHz, IEEE802.11n(RTS/CTS不使用)のリンクを使い3ホップまでの実験を行ったところ、最大5mの範囲で8 Mbps程度のスループットを得られた。 単一無線インタフェースのマルチホップ無線通信環境でのビデオストリーミングと高い信頼性が求められるUAVの制御情報通信を同居させるためのプロトコルの基礎設計を行った。さらに、マルチホップの通信トポロジ維持のための制御通信を最小限にしながら複数のUAVが下水管内で陣形を広げていくための飛行方針について基礎的な検討を行い、UAV間の距離を単一ホップでのみ伸縮させながら陣形を広げる方法が好適との見通しを得た。 下水管内の観測器の位置の推定に関し、UWBを用いた手法と音声を用いた手法について検討し、それぞれ学内の実験管を用いてその効果を確認した。UWBを用いた手法に関しては、直径250 mmの鉄筋コンクリート管ではUWBタグと測定端末間の距離6 mまでの範囲で誤差10 cm程度で位置推定可能であることが確認できた。音声を用いた手法では、音源・マイク間の距離が、実験環境で測定可能な19 mまでの範囲で誤差50 cm以下で推定可能であることが確かめられた。 下水管内を浮流して移動する観測器が無線LAN経由で固定のアクセスポイントに蓄積型データを効率よく送信するプロトコルについて検討した。データ転送にSRTを使用すると、トランスポート層にTCPを用いる場合と較べて、移動観測器のアクセスポイント接近時の総データ転送可能量が通信の信頼性を維持したまま30%程度増加できることが実験で確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数UAVの飛行制御方法、通信制御方法の検討、下水管内のUAVの測位方法の検討・実測、下水管内の無線LANデータ転送性能の実測・及びデータ転送プロトコルの選定について着実な成果が得られた。一方で、当初予定していた障害物を含んだ場合の下水管内の無線LAN通信特性の測定およびシミュレーションは実施できないままとなった。こちらに関しては次年度に実施したい。
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Strategy for Future Research Activity |
当初1年目に予定していた障害物を含んだ場合の下水管内の無線LAN通信特性の測定およびシミュレーションを実施する。実験管に木根等の障害物を配置した場合の無線LAN通信特性、ならびに1年目に検討した位置推定技術(UWB、音声)への影響を実験により確認する。 1年目に基礎設計を行った同一無線インタフェースにマルチホップでのビデオ伝送とドローン制御情報の伝送を同居させるプロトコルに関して、シミュレーションモデルを作成し、無線ネットワークシミュレータScenargieを用いたシミュレーションによりその性能を確認するとともに、設計の改善を実施する。また、前年度はマルチホップでのデータ伝送の実環境実験に関しては2.4 GHz帯IEEE802.11n、RTS/CTSなし、直径200 mmの塩ビ管、単純なiPerfでの転送という限られた条件のみになっていたので、より現実的な条件での評価を進める。小口径の下水管内ではより長い通信距離が見込める5 GHz帯を使うほか、直径 250 mmの鉄筋コンクリート管での実験を行う。さらに、RTS/CTSならびに実際のビデオストリーミングプロトコルを用いたビデオ転送品質の評価を行う。 複数UAVの編隊の制御方式を経路制御プロトコルと組み合わせた形で設計し、実装する。実際には小口径下水管の中でUAVの編隊を飛行させるのは困難なので、下水管内床面を高速に移動する小型ロボットを複数用いて疑似的なシステムを構築して、実証を進める。また、直線的な下水管だけでなく、2次元的な広がりがある地下空間(特殊人孔等)での利用を想定し、平面での位置推定と飛行制御を行うための手法について検討する。 技術の開発に当たっては、UAVを用いた下水管検査の具体的な利用シーン等について下水道整備業者や自治体にヒアリングを行い、より将来的な実現性が高いアプローチをとるように努める。
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Research Products
(6 results)