2023 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the requirements for building a local commons of agriculture as a core of living space
Project/Area Number |
21K18761
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
秋田 典子 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 教授 (20447345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 笙子 東北大学, 工学研究科, 助教 (20897524)
大江 靖雄 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (60302535)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 都市農業 / コミュニティ / 直売所 / マルシェ |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度にあたる本年度は、初年度にも調査を行ったコミュニティの拠点として機能していると考えられるコインロッカー型直売所を対象に、現場でアンケートを配布して利用者の実態調査を実施した。得られた有効回答は169票で、こうした都市農業かつコミュニティの拠点の実態調査としてはこれまでにない規模のものとなった。この直売所は千葉県松戸市の市街化区域と市街化調整区域の境界に位置しており、最寄りの駅から徒歩40分程度離れている。通常、こうした場所はコンパクト+ネットワークの概念において拠点とされることはない。しかし、実際には地元農家が家族で経営しているこの直売所には、子育て世帯から高齢者まで、幅広い年齢層の購入者が週に複数回購入に来ており、利用者の8割以上が半径3キロ圏内の居住者で、交通手段も徒歩と自転車が7割近くあり、年齢に関わらず回答者の2割は生産者との会話を目的に直売所に訪れていることが明らかになった。更にヒアリングを通じて農家家族が地元の子育て世帯同士を繋げるなど、当該コインロッカー型直売所は実態としてコミュニティの拠点として機能している状況にあることが明らかになった。本調査結果は日本固有の都市農業の着目すべき点が多く含まれており、国際学術誌への投稿も視野に入れて論文執筆を行っている所である。 これに加え本年は最終年であることから、農・緑・コミュニティの接点となる多様な事例(都心のマルシェ、歴史的緑地、レクリエーションの場、農産物直売の道の駅)を具体的に取り上げて、農と緑がコミュニティの拠点として果たし得る役割を総合的に検討した。これらの多くは「食」「レクリエーション」のように老若男女に関わらず誰もが参加できるものであり、住民の地域との関わりの能動性を引き出すきっかけとして機能しており、この能動性がコミュニティの拠点形成に欠かせない要件となっていることが示唆された。
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