2023 Fiscal Year Annual Research Report
周方向電場印加によるホール効果を利用した大電力無電極推進機の新たな可能性
Project/Area Number |
21K18774
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小泉 宏之 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (40361505)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 大電力電気推進 / 無電極プラズマ / ホール効果 / 宇宙探査 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在,世界の宇宙開発は活況を呈しており,月そして火星へと続く深宇宙への機運が高まっている。この深宇宙進出の鍵を握るのは効率的な(優れた燃費をもつ)大電力電気推進である.このための2大候補がホール効果スラスタと磁気ノズルスラスタである.本研究では,無電極推進機にホール電流を適用することで,両者の特性をあわせ持つ新しい推進機の探求を行う.昨年度までに、半径磁場卓越型の無電極推進機のプロトタイプを製造し、その基本特性の把握を実施した。また、作動パラメータ範囲を広げるために、半径方向磁場の強度を調整可能な電磁コイルを開発した。 本年度は、昨年度に予定していたが実施できなかった電磁コイルの増強下における電位変動測定を実施した。半径磁場卓越型スラスタに対し側面部巻かれたコイルに高周波(13MHz)を印加しプラズマを生成させ、さらに底面部に配置したスパイラルコイルに別の高周波(155 kHz)を印加しプラズマ加速を試みるが、これまでの永久磁石に代わり電磁コイルにより半径磁場を生成することで、複数の異なる半径磁場強さに対してのプラズマ電位分布の時間変動を得ることに成功した。これにより加速要コイルによる軸方向電場の時間変化を確認できたが、当初想定していた値よりは小さいものであった。ただし、実験準備中のスラスタ破損と修復および大容量粗挽きポンプの故障と交換が発生したため、本年度中の実験回数が限られたものとなりデータの再現性等についての確認ができていない。今後、引き続きデータの取得を行い、変動の様子を明らかにする。
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