2021 Fiscal Year Research-status Report
無欠陥単層カーボンナノチューブの強度維持バンドル化とサイズアップへの挑戦
Project/Area Number |
21K18783
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Research Institution | Kyoto University of Advanced Science |
Principal Investigator |
生津 資大 京都先端科学大学, 工学部, 教授 (90347526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 修吾 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (60743953)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / バンドル化 / 強度 / 欠陥 / 破壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度,様々な化学処理を施したCNT bundleをSEM観察しながら引張試験することに成功した.結果,ポリリン酸を用いて前処理を行い,塩化スルホン酸により分散させたのちに,ジアゾニウム塩によりフェニル基処理したCNT bundleが引張強度が最も向上し,最高で約11GPaの引張強度を示した.一方,分散処理を行わずフェニル基処理を行ったCNT bundleには引張強度に変化が見られないことがわかった. ラマン分光法とナノ引張試験の組み合わせによりCNT bundleの破断位置とラマンスペクトルの関係を調査した.その結果,「処理無し」,「フェニル基処理のみ」,「分散処理のみ」のCNT bundleではG-bandの半値幅が最大になる点で破断が起きることがわかった.G-bandの半値幅の増加はCNT内部の欠陥の増加に起因していることが知られている.つまり,引張負荷が加わった時,比較的大きな欠陥に応力集中が生じ,破断に至ったと考えられる.一方,「分散+フェニル基処理」のCNT bundleではG-band が最大となる位置より少しシフトした点で破断が起きた.これは分散処理により内部にまでフェニル基が処理されるようになったことから各CNTの大きな欠陥同士をフェニル基が結合できることを意味する.これにより欠陥が修復されて強化され,その部分で壊れずにその近傍の比較的小さな欠陥から破壊が生じたと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初,予定していた通りの実験が技術的に順調に立ち上がっている.化学処理を施したバンドルカーボンナノチューブの強度評価技術が確立し,どのような化学処理を行えば高強度化するのかの目途が立ちつつある.一方,単層カーボンナノチューブを2本そろえ,それをバンドル化する技術の確立に向け,独自の電子顕微鏡内ナノ実験装置(ナノラボ)を設計し,準備が整いつつある.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,化学処理を施したバンドルナノチューブの高強度化のメカニズムの理解に努める.ラマン分光と引張試験との融合で,ラマンスペクトルの半値幅にフォーカスすることで,欠陥の様相を予測できた.今後は分子動力学法などのシミュレーション技術を用い,メカニズムの理解に努める.また,初年度で開発したナノラボ技術を駆使し,単層カーボンナノチューブのバンドル化とその強度評価,そして,高強度化のメカニズムの解明を行っていく.
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Research Products
(4 results)