2021 Fiscal Year Research-status Report
Risk assesment of sediment disasters by multispectral imagery
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21K18790
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
今泉 文寿 静岡大学, 農学部, 教授 (80378918)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 土石流 / 分光反射特性 / 攪乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
土砂移動の活発さや過去の土砂移動履歴と地表面の分光反射特性との関係性を明らかにするため,静岡県北部大谷崩(おおやくずれ)を対象として研究をすすめた。大谷崩では土石流の長期観測が行われており,過去に土石流が流下したタイミングや経路についてのデータが蓄積されている。本研究ではまず,地質調査および多地点ステレオ写真測量による地形の計測を行い,現地の土砂移動に関する基礎的な情報を収集した。そして土石流の流路周辺と土砂生産域において,ドローン搭載型のマルチスペクトルカメラと熱画像カメラにより地表を撮影した。撮影画像を写真測量ソフトウェアにより処理したうえで,地理情報システムを用いて過去の土砂移動履歴と対比した。あわせてインターバルカメラ等を用いた土石流のモニタリングを行い,現在の土石流の流下状況の把握を行った。その結果,地表面の分光反射率が,土石流発生後の経過年数と対応することが明らかになった。土石流発生後の経過年数と分光反射率の関係は,波長帯ごとに異なっていた。この対応関係には,土石流発生後の植生の回復が影響していると考えられる。また,熱赤外画像が,土砂の堆積状況や地表面の水分条件の影響を受けることが示唆された。本研究の成果は,ドローンを活用して計測される地表面の分光反射特性により,土砂移動の活発さや過去の土砂移動履歴を推定できる可能性を示唆するものである。また,大谷崩での研究に加え,本研究手法の他地域での展開も見据え,富士山大沢崩れにおける過去の土砂移動履歴の整理や熱海市で発生した土石流の現地調査も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度はドローンの故障など,予期していないことがおこり,当初予定していた多時期の撮影を行うことができなかった。その一方で,分光反射特性と土石流流下後の経過年数との対応関係が明らかになったこと,富士山大沢崩れの土砂移動履歴を整理したことなど,当初の計画以上に進展した部分もある。全体としては,おおむね当初の計画どおりの進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度以降についても引き続きマルチスペクトルカメラによる撮影や,土砂移動の観測を行い,データの蓄積を行う。令和3年度はドローンの故障によりマルチスペクトルカメラによる撮影が1時期に終わったため,令和4年度についてはドローンのメンテナンスや操作訓練を充分に行うことで,複数時期にわたる撮影を行い,データの蓄積に努める。令和3年度の研究の結果,分光反射特性が植生の影響を受けていることが示唆されたため,森林生態を専門とする研究者等と連携をし,植生についての調査をすすめていく。また,調査地である大谷崩において蓄積されている地形測量の成果を地理情報システムにより解析することで,過去の土砂移動の履歴を明らかにしていく。地形の解析に関しては,地形学や空間情報学の研究者との連携を行うことで,円滑にすすめていく。大谷崩以外の場所における土石流の実態把握についても継続して行うことで,本研究の他地域への拡張を検討できるようにする。
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Research Products
(4 results)