2021 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation and application of giant elastic strain in Cu-based beta alloys
Project/Area Number |
21K18802
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
貝沼 亮介 東北大学, 工学研究科, 教授 (20202004)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | Cu-Al-Mn / 単結晶 / 巨大弾性歪現象 / 低弾性率 / 異常粒成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)サイクル熱処理を用いた異常粒成長を利用して、<100>に近い方位を有する50mm長以上のCu-Al-Mn合金単結晶短冊状試料を作製した。単結晶からドッグボーン状に試験片を切り出し、室温から4.2Kまで温度を下げながら、一定温度下で引張試験を行い弾性特性の温度依存性を明らかにした。その結果、ヤング率の温度依存性は極めて小さいことが判明した。また、室温における疲労特性を評価するため、疲労試験機を用い応力を変えて繰り返し試験を行った。その結果、良好な繰返し特性が得られることを確認した。 (2)試料に印加する応力を変えながらSEM-EBSD測定やその場TEM観察、中性子回折測定(J-parcを利用)を行い、試料内部の結晶学的な変化や微細組織変化を調査した。その結果、既にX線回折で明らかにされている結果と同様に、引張応力の印加に従い結晶<100>方位の伸長が単調に現れ、一定以上の応力を越えなければマルテンサイト相は出現しないことが判明した。 (3)加振法により得られた弾性率を用い、弾性変形理論を用いた解析を行った。その結果、Cu-Al-Mnの<100>, <110>, <111>といった主要方位のヤング率の大きな違いは、CuAlMn合金においてC‘の値が小さい点に起因することを解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた研究内容について、ほぼ計画通りに進んでいるから。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の研究結果を踏まえ、電子部品をターゲットとして高い導電性が見込めるCu-Zn、Cu-Snを始めとした他銅合金系で類似の巨大弾性歪と低弾性率を実現できるか調査する。そのために、これらの系についてもCu-Al-Mn系と同様サイクル熱処理の有効性を確認する。また、適宜専門家に連絡を取り、整形外科用リハビリ部材といった電子部材以外の用途についても検討する。
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Causes of Carryover |
Cu-Zn、Cu-Snを始めとした他銅合金系については、今まで殆ど扱った経験が無いため21年度に予備研究を行っていた。その中で、CuZnAl系においてCuAlMn合金と類似の巨大弾性歪と低弾性率を実現できる可能性が見えてきた。しかし、本格的な実験には、新しい多くの合金を溶解しサイクル熱処理法による単結晶作製の可否や低ヤング率を示す機械物性の確認など膨大な研究を行う必要性がある。そのための必要経費として、素材、消耗品、装置部品、技術研究員人件費、オープンラボスペース賃料を予定している。
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