2023 Fiscal Year Research-status Report
金属錯体の塗布による緻密かつ大面積なZnO半導体薄膜の成膜
Project/Area Number |
21K18806
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横山 俊 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (30706809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 幸司 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (00911158)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Keywords | Zn錯体 / アンモニア / 酸化亜鉛 / 塗布形成 / スプレー塗布 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでアミンヒドロキソ亜鉛錯体を用いて酸化亜鉛薄膜を形成するには、300度以上かつ15M程度の高アンモニア条件が必要であったが、前年度までに錯体制御および反応条件の制御によって150度以下の低温かつ1M程度の低アンモニア条件において、酸化亜鉛薄膜を形成することに成功している。本年度は、形成された膜の粗さ、厚さなどの膜質制御に加えて、大面積な酸化亜鉛薄膜形成について検討を行った。本手法において、加熱された基板上に錯体を塗布することが重要であり、それは乾燥を経由した場合は酸化亜鉛ではなく水酸化亜鉛となり、乾燥前に加熱されることによって酸化亜鉛となることを見出しているためである。したがって、均一加熱可能なホットプレート上に基板を置き、スプレー塗布可能であれば、大面積化も可能であると考えており、実際に研究実施時は1cm×1cm基板を用いて酸化亜鉛形成を行ったいたが、ホットプレートに制限された限界の大きさである10cm×10cmの大きさでも不純物相などなくZnO形成が可能であることを明らかとした。ただし、現在スプレーガンを用いた手動の溶液スプレー法による塗布を用いているため、粗さや膜厚などの膜質については、溶液条件や加熱温度よりも手動による誤差の影響が非常に大きく、再現性に乏しい。そのため、新たに再現のよいスプレー方法の開発について検討項目を追加し、再現性を担保したうえで、膜質および粗さの制御を行うことが必要となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では本年度中に酸化亜鉛薄膜の大面積化に加えて、粗さや膜質などの膜質制御も行う予定であったが、低温および低アンモニアでの酸化亜鉛形成には必須なスプレー塗布を用いた場合に、膜質の再現性が乏しいため、膜質制御を行うことができなかった。そのため、当初計画から1年延長し、再現性と担保し、膜質制御を行ったうえで、本研究の総括を行うように変更した。ただし、当初計画の中で大きな目標としていた低温かつ低アンモニア環境下にいける酸化亜鉛形成には成功していることから、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画から一年研究を延長し、酸化亜鉛の膜質の再現性を担保した上で、本研究を総括する。再現性が乏しい理由は手動でスプレーガンを用いた塗布を行っていることにあるため、スプレーガンの固定、塗布量、塗布距離などのスプレーガンによる塗布における様々な因子を制御できるような実験系を組み、制御を行うことで、再現性を担保する。
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Causes of Carryover |
研究実績概要および研究進捗状況で述べたように、当初3年計画であった本研究について、再現性が担保できなく最終的な酸化亜鉛薄膜の膜質制御ができなかったことから、新たに再現性を向上させる研究計画を追加し、一年研究計画を延長したため次年度使用額が発生した。
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