廃Nd磁石からアセチルアセトンで抽出した有機Nd錯体の水素還元によるNd回収

2022 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 21K18808
• Research Institution: Tohoku University
• Principal Investigator: 植田 滋 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (80359497)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): LU XIN 東北大学, 工学研究科, 助教 (00781452) ; 佐々木 康 東北大学, 多元物質科学研究所, 学術研究員 (90281782)
• Project Period (FY): 2021-07-09 – 2023-03-31
• Keywords: Nd回収 / アセチルアセトン / 金属錯体 / 水素還元 / 有機電解

Outline of Annual Research Achievements

近年、金属製錬プロセスは温室効果ガス問題やエネルギー問題の深刻化への対処が迫られているが、既存の高温プロセスはの改良では対応できず、従来とは異なるプロセス開発が求められている。本研究ではアセチルアセトンとFe、Co、Ni、Cu、Mn、Ndの金属酸化物や使用済み金属合金を200℃前後の低温で反応させて、有機金属錯体を生成し、その錯体の水素還元により金属を回収する錯体冶金学を提案した。その応用例としてNd-Fe-B合金磁石からのNd（ネオジウム）回収を取り上げ、ネオジウムアセチルアセトナートの水素還元による金属Nd回収の検討を行った。錯体冶金学の基礎を確立する準備としてFe、Co、Ni、Cu、Mn、Ndアセチルアセトナートの還元実験を行った。種々の実験条件下(反応温度、アセチルアセテート昇華温度、有機錯体搬送用Ar流量、還元用H2流量など)で生成したFe、Co、Ni、Cu、Mnのアセチルアセテートからは水素還元、冷却により金属フィルムを生成することができた。同様に生成したNd(acac)3 (ネオジウムアセチルアセテート)に対して強還元雰囲気である水素を用いた還元を行ったところ(250°C～300°C)、金属NdでなくNd2O3が得られ、混合酸化物からNd2O3を分離回収することが可能となった。現時点ではまだNd回収はできていないが、Fe、Co、Ni、Cuに関しては、これらの金属錯体の250℃前後の温度での水素還元によりそれぞれの金属を金属フィルとして回収することができ、有機金属錯体を有効活用する錯体冶金学の基礎を確立した。