2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of bonding technology for thin metal sheets using friction stir welding
Project/Area Number |
21K18811
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
田代 優 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 准教授 (90272111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永野 隆敏 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 講師 (70343621)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 異種金属間接合 / Cu-Al / 摩擦撹拌接 / 金属間化合物相 / 合金相 / 回復・再結晶 / 粒子法 |
Outline of Annual Research Achievements |
摩擦撹拌接(Friction Stir Welding以下FSWと略す)時の接合温度とされる融点の80%程度の温度下では、接合材料は、溶融する前の金属状態である高粘性流体になると仮定するモデルを着想し、これを一般に流体に適用されてきた粒子法に拡張する。このモデルを接合部付近の空隙や欠陥等の材料不連続部を含めた接合界面に適用することで、従来の実験的手法や有限要素法等では測定・算出が難しかった接合界面における温度と圧力を予測することが可能となると考えた。さらに、このシミュレーションの手法では、接合条件、接合部組織および接合強度の相互の関係を支配する熱や熱に支配される物性値を特定できる可能性があることにも着目した。 本研究では、特に電池電極として高信頼・高強度の接合が期待されているCu-Al異種金属材料のFSWによる接合部組織の定量的な組織観察結果と粒子法による接合部組織の再現シミュレーション結果の比較・評価を行うことで、接合部の温度分布や塑性流動を支配する接合パラメータを明らかにする。 2021年度は、粒子法の検討項目においては、計算機によるシミュレーション環境の高速度・高性能化のため、計算機高速化デバイス(GPU)や解析ソフトウェアの拡充を行った。金属の軟化温度付近における粘度をビッカース硬さ試験を再現したシミュレーションから決定し、粒子法によるAl-Cu接合のシミュレーションを行った結果、AlとCuの撹拌する様子(粒子分布)と、接合時の温度(温度分布)を可視化した。また、接合部組織の定量的な組織観察結果の項目では、微細組織の高精細な画像を得るために、本申請で導入したデジタルマイクロスコープシステムを用いて高精度の画像データの収集を行い、画像処理ソフトを用いて、接合界面長さ、接合界面の状態、結晶粒径およびその分布、欠陥の形態及び分布について定量化評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①Cu-Al板突合せFSWおよび接合断面の定量的観察・分析:接合条件を変えてCu-Al板突合せFSWを実施し、6種類の試料を作製した。これら試料について、接合部断面組織について結晶粒径やその分布等について測定を実施した。接合部断面の観察には、今回の申請で購入したデジタルマイクロスコープシステムを用いて高精度の画像データの収集が可能となった。主要な接合界面長さ、接合界面の状態、結晶粒径およびその分布、欠陥の形態及び分布について定量化を行った。また、Alの流動層内にCuの小片が取り込まれ、その流動距離の増加に伴ってCu粒が微細化し、その表面からAlとの合金化している様子が確認できた。今後は、さらに詳細にシミュレーション結果との比較・評価ができるよう数値化を進める予定である。 ②粒子法によるFSW高粘性金属モデルの構築:既に金属の軟化点付近の粘度を考慮した粒子法モデルの骨格を作成した。高粘性流体を表現する値にパラメータを設定するうえで計算機規模が不十分であるため、本申請で購入した計算機高速化デバイス(GPU)や解析ソフトウェアの拡充を行った結果、高速・大容量データ処理が可能となった。 ③接合部組織と高粘性流体パラメータの相関を検証:本研究の採択が9月上旬と遅れたため、①にて取得した接合界面長さ、接合界面の状態、結晶粒径およびその分布、欠陥の形態及び分布)の接合部断面観察が若干遅れていた。このため、粒子法シミュレーション結果(②構築されたモデルにてえられた結果)の比較・評価からシミュレーションの精度の向上と測定が困難な物性値を逆問題的な解決は、2022年度に実施予定である。 ④接合部の強度測定:接合部の組織観察をより詳しく行った後に実施することとしたため、これも2022年度実施予定と変更した。 したがって、研究の進捗状況はの自己点検は、(2)おおむね順調に進展していると評した。
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Strategy for Future Research Activity |
本申請の採択が9月上旬となったため、当初研究計画より3か月程度遅れていると考えられる。そのため、以下の計画④および⑤は、2022年度実施と変更とした。 ④接合部の強度測定(担当:田代優)接合部の詳細な組織観察を行った部分の接合強度を引張試験および硬さ試験によって評価を行い、接合組織観察で得たデータと接合強度のデータの相関性を比較・評価を行う。 ⑤高粘性流体モデルに対して用いる物性値を断面観察結果から得られた接合界面形状や金属組織(粒径分布、欠陥分布等)が再現可能となるような条件を選択しがら絞り込む。(担当:永野隆敏・田代優) ⑥具体的には、動粘性係数、熱伝導率等、既に分かっている融点以上の液体金属の値からモデル計算から高粘性側に外挿しながら値を絞り込む。有限要素法では不可能な攪拌などを粒子法によって再現可能となったことで、FSW接合面近傍での不連続な攪拌粒の生成過程を追う予定である。(担当:永野隆敏・田代優)
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Causes of Carryover |
次年度使用額が217円となった。これは物品購入時の価格変動の影響のためであり、本年度予算と共に試料の研磨材購入に執行予定である。
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