2021 Fiscal Year Research-status Report
アモルファス酸化物半導体を用いた低温作製可能な超高感度光センサの創出
Project/Area Number |
21K18814
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
井手 啓介 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (70752799)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
|
Keywords | アモルファス酸化物半導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
アモルファスIn-Ga-Zn-O(a-IGZO, イグゾー)に代表されるアモルファス酸化物半導体(AOS)は、室温プロセスで作製しても良好な半導体特性を得られることが知られている。応募者はこれまで、AOSのなかでもa-Ga-Oの元素を使うと、バンドギャップが4 eVを超える超ワイドギャップの半導体を室温で作れることを明らかにしてきた。また最近の研究では、超ワイドギャップAOSを使った新規発光ダイオードの作製に成功している。本研究ではそのAOSダイオードの応用先を発展させる次のような研究に取り組む。 1) 反応性スパッタリングにより耐圧の高いAOSダイオードを作製する。 2) デバイスシミュレータなどの数値解析を用いて、高耐圧ダイオードの欠陥特性などを理解する。 3) プラスチック基板上にAOSダイオードを作成し光応答を調査する。最終的には、アバランシェダイオードのような超高感度のAOSフォトダイオードをプラスチック上に作製することを目指す。 2021年度には、スパッタリング法により作製した超ワイドギャップAOSの基礎物性を評価した。スパッタリングで作製しても、数cm2/Vsの薄膜を得ることに成功し、またデバイス作製においてもスパッタリングで初めて超ワイドギャップAOSトランジスタを得ることに成功した。独自のリソグラフィプロセスを確立し、白金との接合を形成することでダイオード特性も現時点ですでに得られている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の想定通りスパッタリングによる半導体薄膜が得られる条件を今年度中に見出すことができた。さらにデバイスの動作もすでに得られており概ね順調に進展していると言える。しかし耐圧の面ではさらなる改善を要し、計画通り改善を重ねる予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度はスパッタリング法で初めて超ワイドギャップAOSを使ったトランジスタやダイオードを実証することができた。本年度は、デバイスシミュレータなどの数値解析を併用しながら欠陥について考察を深め、さらに耐圧の高いAOSダイオードを作製する。その後プラスチック基板上へのデバイス形成も行い、光応答特性を評価することで、フレキシブル超高感度ダイオードの実証に取り掛かる。
|
Causes of Carryover |
コロナウイルスまん延防止のため、当初予定していた会議への出張ができなかったことや、SPrign-8,KEKなどの施設を利用した実験が制限されたことで残額が生じた。今年度は国内外の国際会議で昨年度の分も積極的に成果発表をしていくことを予定している。また実施できなかった実験についても設備導入し実施する予定である。
|