2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K18823
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
河村 剛 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10548192)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 酸化鉄 / 光触媒 / 表面プラズモン共鳴 / ナノ多孔構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
安全で安価な酸化鉄の光触媒性能を向上することを目的として、多様な形状・構造・組成を有する酸化鉄を液相法で合成した。例えば共沈法で合成する場合には、溶液のpHや反応温度を細かく変化させることなどにより、米粒状から多孔質状の様々なサイズのナノ粒子を得ることができた。さらに、パーマロイ酸化粒子やプラズモニックナノ粒子との複合化による、酸化鉄ナノ粒子ベースの複合材料も合成した。 光触媒性能を評価するために、メチレンブルーやメチルオレンジなど様々な色素分子の分解反応を調べた。光触媒特性評価時にも、pHの調整や酸化還元犠牲剤の使用、硫酸鉄の添加、使用する光源の変更などをすることで、多様な条件での光触媒特性を評価した。 得られた試料のいくつかで光触媒作用の向上が確認できたが、特にpHを塩基側に調整して硫酸イオンを添加した場合に、良好な光触媒活性が見られることがわかった。一方で、パーマロイ酸化粒子やプラズモニックナノ粒子との複合化は、作製プロセスの最適化が完了しておらず、今後さらに検討が必要である。 また、更なる性能向上に向けて、陽極酸化法で、鉄板上に酸化鉄ナノ構造体を作製する検討も行った。作製後の試料を空気中や水蒸気中で熱処理することで、ナノ構造を更に成長させる試みも実施した。結果として、これまでに酸化鉄のナノチューブアレイやナノシートの合成に成功した。また、その6価クロム除去性能を評価し、その除去メカニズムの考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学生との協働により、多種多様な酸化鉄ベースのナノ構造材料を作製し、その光触媒特性や6価クロム除去性能を評価するに至っており、当初の予定通りに進んでいる。一方で、鉄板の熱酸化や陽極酸化により酸化鉄を作製することで、より高い性能を得られる可能性を見出しており、当初計画にはなかったが、関連の深いそちらの研究にも展開しつつあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた酸化鉄ナノ粒子をベースとした研究を続けるとともに、鉄板上に形成する酸化鉄ナノ構造を利用した光触媒作用の調査にも研究を広げていく。鉄板上に形成することで、外部電場印加による性能向上や、電気化学的解析が可能となる。また、プラズモニックナノ粒子や炭素系ナノ材料との複合化による、多機能化・高機能化も検討する。
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Causes of Carryover |
購入予定だったワークステーションの大幅値下げにより別予算で複数台を購入し、その分追加で必要となったソフトウェアの料金が嵩んだ。また、国内旅費で計上していた学会参加にかかる費用が、オンライン化で大幅に縮小した。結果、約56万円を次年度使用額とした。
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Research Products
(5 results)