2021 Fiscal Year Research-status Report
ストレッチャブルスピンデバイス実現を目指した超瞬間熱処理プロセス構築への挑戦
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21K18827
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
千葉 大地 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (10505241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深見 俊輔 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (60704492)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 熱処理プロセス / フラッシュランプアニール / スピントロニクスデバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度研究開始当初に、この研究の要となるフラッシュランプアニール装置が故障した。海外のメーカー製であり、コロナ禍のため技術者が来日できず、対応に苦慮した。来年度(2022年度)初めに再起動の目途が立ったが、今年度は既存試料の詳細な解析に注力することとした。そこで今年度は、磁気トンネル接合(MTJ)の、熱処理前後の既存試料の微細組織構造や元素分布、アニール過程の観察を、大阪大学超高圧電子顕微鏡センター(阪大電顕センター)にて行うための技術習得と、データどりを急ぐこととした。また、観測用磁気トンネル接合の試料作製や、通常の熱処理炉での条件出しなどを行った。 阪大電顕センターにて、元素分布、つまり特定の元素の拡散の様子の違いを確認できる準備を整えた。具体的には、試料準備の方法、装置の使用方法などを習得する作業を行った。その後、通常の熱処理炉で450℃でアニールを行った試料と、フラッシュランプアニール装置を用いていくつかのコンディションで瞬間アニールした既存試料の、双方の透過型電子顕微鏡像、エネルギー分散型蛍光X線分析(EDX)ラインプロファイルを観察し、結晶化の様子や、元素部分布の違いを観察した。CoFeB/MgO系MTJのBの拡散の様子、下地層やキャップ層元素の拡散の様子などを観察したところ、通常の熱処理炉でアニールした試料では、B(ボロン)が下地層に多く含まれていることなど、特徴的な様子を観測することができた。今年度終盤にはフラッシュランプアニール装置でアニールした試料の観測も行うことができたが、EDXの計測については来年度以降に持ち越しとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝心のフラッシュランプ装置の故障のために新たな試料を作ることはできなかったが、その分、電顕による観察の準備が進んだため。
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Strategy for Future Research Activity |
フラッシュランプアニール装置の修理の目途が立ったため、瞬間アニール条件を変えたMTJ試料の微細組織構造や元素分布、アニール過程の観察を行う。計画を全うすべく全力を尽くす。
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